一審判決の送達が不適法であつても、控訴審において異議なく訴訟を遂行してきた以上、適法な上告理由とならない。
一審判決の送達の不適法と上告理由
民訴法193条
判旨
抵当権の実行による不動産所有権の移転は、抵当権設定登記当時の権利状態でなされるため、抵当権設定登記後に所有権を取得した第三者は、競落人に対して自己の権利を対抗できない。
問題の所在(論点)
抵当権の設定登記後に当該不動産の所有権を取得した者は、抵当権の実行により不動産を買い受けた者に対し、その所有権を対抗することができるか。
規範
抵当権の実行は、抵当権の設定登記がなされた当時の権利状態で、その不動産の所有権を競落人(買受人)に移転させるものである。したがって、抵当権設定登記後になされた権利変動は、競落人に対して対抗することができない。
重要事実
不動産に抵当権が設定され、その設定登記が完了した。その後、上告人らが当該不動産の所有権を取得した(あるいは取得したと主張した)。その後、抵当権が実行され、競落人(買受人)に所有権が移転したが、上告人らは競落人に対し、後から取得した自己の所有権を対抗できると主張して争った。
あてはめ
事件番号: 昭和41(オ)1097 / 裁判年月日: 昭和42年6月6日 / 結論: 棄却
不動産の所有権が順次甲、乙、丙と譲渡された場合に、甲が乙に対し所有権移転登記をする意思で、登記申請書類を交付していたときは、甲の右登記申請意思は、丙が右書類を利用して甲から丙に直接所有権移転登記をすることを無効たらしめるものではない。
本件において、上告人らが所有権を取得したのは抵当権設定登記の後である。抵当権実行による所有権移転は、登記時点の権利状態を基準として行われる。そうすると、設定登記後に現れた上告人らの権利は、抵当権の効力が及ぶ範囲に含まれる不動産価値から生じた競落人の地位を優先させるべきであり、競落人に対抗し得ないものと解される。
結論
抵当権設定登記後に所有権を取得した者は、競落人に対し、その所有権を対抗できない。したがって、原審の判断に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
抵当権の追及力と買受人の地位を確定させた基本的な判例である。答案上は、抵当権実行による権利の帰趨が問題となる場面で、物権変動の対抗関係(民法177条)の枠組みを超えて、抵当権の本質的効力(優先弁済的効力の実現)として論じる際に用いる。
事件番号: 昭和40(オ)1110 / 裁判年月日: 昭和43年2月29日 / 結論: 棄却
貸金債権担保のため不動産に抵当権が設定され、あわせて同一債権保全のため右不動産について代物弁済の予約が締結された場合において、右抵当権の実行による競売手続が開始したときは、右競売手続が競売申立の取下その他の事由により終了しないかぎり、債権者が代物弁済の予約の完結権を行使することは許されない。
事件番号: 昭和40(オ)1016 / 裁判年月日: 昭和42年6月30日 / 結論: その他
甲が乙との間で自己所有の建物につき代物弁済の予約を締結し、乙が右予約に基づく完結権を行使したが、その所有権移転登記前に右完結の意思表示を撤回し、しかる後関係書類を利用して、右建物を自己名義に所有権移転登記を経由した場合には、乙から右建物を買受けてその旨の所有権移転登記を受けた丙および丙からこれを賃借した丁らは甲に対し右…
事件番号: 昭和37(オ)396 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。
事件番号: 昭和39(オ)231 / 裁判年月日: 昭和40年2月23日 / 結論: 棄却
処分禁止の仮処分の登記後に仮処分債務者から第三者に対し所有権の移転登記がされた場合において、仮処分債権者は、債務者との本案訴訟において実体法上の権利の存することを確定しないかぎり、単に仮処分債権者たる地位に基づいて、右第三者に対し、右実体法上の権利を主張して、前記所有権の移転登記の抹消登記を請求することはできない。