土地の共有者は、その共有する換地予定地使用権の分割を裁判所に請求することができる。
共有者の換地予定地使用権につき裁判所に分割を請求することの可否
民法256条,民法264条,土地区画整理法99条
判旨
土地区画整理事業における換地予定地の使用収益権の共有者は、民法264条、256条に基づき裁判所に対しその分割を請求することができ、これは施行者の権限を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業における換地予定地の使用収益権は、民法264条・256条に基づき裁判上の分割請求の対象となるか。また、裁判所による分割が施行者の換地予定地指定権限を侵害することにならないか。
規範
財産権の共有関係については、民法264条により同法256条が準用される。土地区画整理事業施行者による換地予定地の指定は施行者の権限に属する行政処分であるが、指定により生じた使用収益権が共有されている場合、その分割を裁判所に求めることは私法上の共有関係の解消にすぎない。したがって、裁判所による分割は、新たな換地予定地の指定や使用収益権の設定を伴うものではなく、施行者の権限を侵すものではない。
重要事実
上告人と被上告人は、特別都市計画法(現在の土地区画整理法に相当)に基づき、特定の土地について換地予定地の指定を受け、その土地を使用収益する権利を共有していた。その後、共有者間において当該使用収益権の分割を求める訴えが提起された。これに対し上告人は、換地予定地の指定は施行者の権限であり、裁判所が分割を命じることは施行者の権限を侵す違法なものであると主張して争った。
あてはめ
本件における換地予定地の使用収益権は、施行者の指定によって発生した権利ではあるが、発生後は共有者間の私的な財産権として帰属している。民法264条は、所有権以外の財産権が数人の共有に属する場合に共有の規定を準用しており、同256条の分割請求権も含まれる。裁判所がなす共有分割は、既存の権利の範囲内での持分の確定・分離にすぎず、施行者の権限に属する「新たな換地予定地の指定」や「一部への新たな権限設定」には当たらない。したがって、私法上の権利関係を整理するものとして、裁判所による分割は適法である。
結論
換地予定地の使用収益権は裁判上の分割請求の対象となり、裁判所が分割を命じることは施行者の権限を侵害せず、適法である。
実務上の射程
土地区画整理事業における換地予定地上の権利のような、公法上の指定によって成立する私法上の権利についても、民法264条を介して共有物分割の規定が適用されることを示した。行政処分によって生じた法的地位であっても、その実態が私的な財産権の共有である限り、私法上のルールに基づく解消が可能であるとする。実務上は、土地区画整理事業の進行中であっても共有者間での権利整理を先行させることができる点に意義がある。
事件番号: 昭和28(オ)163 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
一 相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない。 二 遺産の分割に関しては、民法二五六条以下の規定が適用せられる。
事件番号: 昭和32(オ)729 / 裁判年月日: 昭和34年11月26日 / 結論: 棄却
土地の共有持分の一部を譲り受けた者が、他の共有者と、共有者間の内部において、その土地の一部を分割し、その部分を右譲受人の単独所有として独占的に使用しうること及び後に分筆登記が可能となつたときは直ちにその登記をなすことを約した場合は、その後同土地につき共有持分を譲り受けた者に対して右契約上の債権を行うことができる。
事件番号: 昭和41(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和44年12月18日 / 結論: 棄却
甲が乙丙を被告として提起した共存物分割請求訴訟において、丙が、自己に単独所有権があると主張し、右所有権取得の理由として予備的に取得時効を援用した場合に、乙が、甲の請求原因事実を認め、これによつてみずからの共有持分があることを主張し、その主張が判決によつて認められたときには、右主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、丙の…