甲が乙丙を被告として提起した共存物分割請求訴訟において、丙が、自己に単独所有権があると主張し、右所有権取得の理由として予備的に取得時効を援用した場合に、乙が、甲の請求原因事実を認め、これによつてみずからの共有持分があることを主張し、その主張が判決によつて認められたときには、右主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、丙のための取得時効を中断する効力を有するものと解すべきである。
甲が乙丙を被告として提起した共有物分割請求訴訟において乙がみずからの共有持分があることを主張することは丙のための取得時効を中断する効力を有するか
民法147条
判旨
共有物分割請求訴訟において、被告の一人が自己の共有持分を主張する行為は、裁判上の請求に準ずるものとして、時効中断の効力(現行法上の時効更新・完成猶予等)を生ずる。
問題の所在(論点)
共有物分割請求訴訟において、被告の一人が自らの持分を主張する行為が、他の被告(時効取得を主張する者)に対する関係で、時効中断事由としての「裁判上の請求」に準ずる効力を有するか。
規範
共有物分割請求訴訟の中で、当事者が自己の共有持分がある旨を主張する行為は、その主張が裁判所に認められる場合には、民法147条1号(旧法)所定の「裁判上の請求」に準ずるものとして、相手方の取得時効を中断する効力を有する。
重要事実
被上告人、上告人A1、及び上告人A2ら5名が各3分の1ずつの持分を有する土地について、被上告人が共有物分割を請求した。これに対しA1は、当該土地が自己の単独所有であると主張し、予備的に取得時効(昭和9年1月始期、20年)を援用した。訴訟の過程で、共同被告であったA2らは「自分たちにも3分の1の持分がある」旨を主張し、原審はその持分権を認めた。
事件番号: 昭和41(オ)648 / 裁判年月日: 昭和45年11月6日 / 結論: 棄却
数個の共有建物が一筆の土地上にあり外形上一団の建物とみられる場合に、民法二五八条により右建物につき現物分割をするには、右建物を一括して分割の対象とし、共有者がそれぞれ各個の建物の単独所有権を取得する方法によることも許される。
あてはめ
本件は共有関係に基づく分割請求訴訟であり、分割請求を認容する判決が確定しても各持分権自体に既判力は生じない。しかし、判決の基礎としてA2らが3分の1の持分を有することが肯定され、これを前提に分割が命じられる以上、その主張には権利行使の側面が認められる。したがって、実質的に共有持分に基づく裁判上の請求と同様の機能を果たしているといえるため、時効中断の効力を認めるのが相当である。
結論
A2らによる持分の主張は裁判上の請求に準じ、A1の取得時効を中断させる。よって、A1の単独所有権の主張は認められない。
実務上の射程
共有物分割請求訴訟という形式であっても、訴訟内で自己の権利を明確に肯定する主張は時効中断の効力を持ち得る。民法改正後の現行法下においても、催告や裁判上の請求の範囲を実質的に判断する際の指針となる判例である。
事件番号: 昭和47(オ)121 / 裁判年月日: 昭和50年11月7日 / 結論: 破棄差戻
共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。
事件番号: 平成22(受)2355 / 裁判年月日: 平成25年11月29日 / 結論: その他
1 共有物について,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分を有していた者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消につい…