数個の共有建物が一筆の土地上にあり外形上一団の建物とみられる場合に、民法二五八条により右建物につき現物分割をするには、右建物を一括して分割の対象とし、共有者がそれぞれ各個の建物の単独所有権を取得する方法によることも許される。
民法二五八条によつてなされる数個の共有物の現物分割が共有者においてそれぞれ各個の物の単独所有権を取得する方法によることが許されるとされた事例
民法258条
判旨
複数の不動産であっても、外形上一団のものとみられる場合には、共有物分割において一括して分割の対象とし、各共有者が個別の不動産の単独所有権を取得する方法による現物分割も許容される。
問題の所在(論点)
民法258条の「現物分割」において、数個の不動産を一括して分割の対象とし、特定の不動産を特定の共有者の単独所有に帰せしめる分割方法が許されるか(一括分割の可否)。
規範
民法258条に基づく共有物の現物分割は、本来は各個の共有物についてなされるべきであるが、数個の物であっても、例えば数個の建物が一筆の土地上に密接して建設され、外形上一団の建物とみられるときは、これらを一括して分割の対象とし、各共有者が各個の物の単独所有権を取得する方法により分割することも、現物分割として許される。
重要事実
上告人と被上告人(兄弟3名)は、長年にわたり協力して家業に従事し、その収益を基に一筆の土地とその地上にある三棟の建物を取得した。これらは外形上一団の建物とみられる状態にあり、実質的に3名の共有に属していた。被上告人らは、これら土地・建物の一括分割を求めて提訴したところ、原審は、土地を3分割し、三棟の建物をそれぞれ各当事者の単独所有とする現物分割を命じた。上告人は、個別の不動産を特定の者の単独所有とする分割方法は現物分割の範囲を超えると主張して上告した。
事件番号: 昭和41(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和44年12月18日 / 結論: 棄却
甲が乙丙を被告として提起した共存物分割請求訴訟において、丙が、自己に単独所有権があると主張し、右所有権取得の理由として予備的に取得時効を援用した場合に、乙が、甲の請求原因事実を認め、これによつてみずからの共有持分があることを主張し、その主張が判決によつて認められたときには、右主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、丙の…
あてはめ
本件において、分割対象は一筆の土地およびその地上に存在する三棟の建物である。認定事実によれば、これら三棟の建物は、同一土地上に互いに密接して建設された一群の建物であり、外形上一団の建物とみることができる。このような場合には、数個の建物を一括して分割の対象とすることが妨げられない。したがって、各建物を各当事者の単独所有に帰属させる分割方法は、現物分割の枠組みの中で許容される。また、各当事者の持分比率と取得額に差が生じても、当事者が持分の放棄を合意している場合には、その効力を認めることができる。
結論
本件の分割方法は現物分割として適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
共有物分割における分割方法の多様性を認めた重要判例である。特に複数の共有不動産が存在する場合に、個々の不動産を細分化するのではなく、不動産単位で所有者を分ける手法(いわゆる価格賠償を伴わない一括現物分割)の正当化根拠として引用できる。答案では「外形上一団」という要件を事実から拾い、一括分割の必要性を論じる際に活用すべきである。
事件番号: 昭和38(オ)1021 / 裁判年月日: 昭和41年5月19日 / 結論: その他
共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
事件番号: 昭和41(オ)1223 / 裁判年月日: 昭和42年3月23日 / 結論: 棄却
不動産の単独所有を主張してその所有権確認を求めたのに対し、裁判所が単独所有の事実を否認するとともに、これが相手方との共有に属ずることを認定して、その持分の割合に応じた持分権を有する旨確認し、また、右不動産について、自己から相手方のためになされている所有権移転登記の抹消を求めたのに対し、右自己の持分についてのみの一部抹消…