共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の共有者に対して共有物の明渡請求をすることができるか
民法249条
判旨
共有物の持分価格の過半数を有する多数持分権者は、他の共有者の協議を経ないで単独に共有物を占有する少数持分権者に対し、当然には共有物の明渡しを請求することはできない。少数持分権者であっても自己の持分に基づき共有物を使用収益する権原を有するため、明渡しを求めるには正当な理由の主張立証を要する。
問題の所在(論点)
共有物の持分価格の過半数(多数持分権)を有する者は、他の共有者の合意なく単独で占有している少数持分権者に対し、当然に共有物の明渡しを請求することができるか(民法249条および252条の解釈)。
規範
共有物の持分価格の過半数を有する多数持分権者は、管理に関する事項を単独で決定し得る(民法252条本文)ものの、当然に当然に共有物の明渡しを請求することはできない。けだし、少数持分権者であっても、自己の持分に基づいて共有物を使用収益する権原を有し(同法249条)、これに基づいて共有物を占有するものと認められるからである。したがって、多数持分権者が少数持分権者に対し明渡しを求めるには、共有物の管理・保存上の必要性など、その明渡しを求めるに足りる理由を主張・立証しなければならない。
重要事実
本件建物はDの死亡により共同相続され、被上告人ら(8名)と上告人の共有となった。持分比率は、被上告人Bが1/3、他の被上告人7名および上告人が各1/12である。上告人は本件建物に現に居住して占有を継続していた。これに対し、持分の合計が過半数(11/12)を超える被上告人らが、少数持分権者である上告人に対し、当然に建物の明渡しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和41(オ)1223 / 裁判年月日: 昭和42年3月23日 / 結論: 棄却
不動産の単独所有を主張してその所有権確認を求めたのに対し、裁判所が単独所有の事実を否認するとともに、これが相手方との共有に属ずることを認定して、その持分の割合に応じた持分権を有する旨確認し、また、右不動産について、自己から相手方のためになされている所有権移転登記の抹消を求めたのに対し、右自己の持分についてのみの一部抹消…
あてはめ
本件において、被上告人らは合計11/12の持分を有する多数持分権者であり、上告人は1/12の持分しか有しない少数持分権者である。しかし、上告人は少数持分権者であっても共有持分権に基づく使用収益権原(249条)を有しており、現に占有を開始している以上、その占有は不法占拠とはいえない。被上告人らは多数持分権者であることのみを理由として明渡しを求めており、明渡しを必要とする具体的な管理上の理由について何ら主張・立証を行っていない。したがって、被上告人らによる明渡請求は認められない。
結論
多数持分権者は、少数持分権者に対し、当然には共有物の明渡しを請求することはできない。被上告人らの明渡請求を認めた原判決は失当であり、破棄されるべきである。
実務上の射程
共有者間での明渡請求において「当然には請求できない」とするリーディングケースである。答案上は、249条の各共有者の使用権と252条の管理決定権の調整として論じる。本判例は明渡請求を否定したが、反対に占有者が他の共有者の使用を妨げている場合に、持分の価格に従った「使用」の調整として、明渡しではなく「自己への引渡し」を求める場合にも、本判例の趣旨を引いて「正当な理由(管理の必要性等)」の有無を検討する形となる。
事件番号: 昭和41(オ)648 / 裁判年月日: 昭和45年11月6日 / 結論: 棄却
数個の共有建物が一筆の土地上にあり外形上一団の建物とみられる場合に、民法二五八条により右建物につき現物分割をするには、右建物を一括して分割の対象とし、共有者がそれぞれ各個の建物の単独所有権を取得する方法によることも許される。
事件番号: 昭和38(オ)371 / 裁判年月日: 昭和40年1月22日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。
事件番号: 昭和34(オ)1273 / 裁判年月日: 昭和38年4月19日 / 結論: 棄却
一 民法附則第二五条第二項により新法によつて相続人となる者は、同法施行当時生存している必要はないものと解すべきである。 二 右同条同項による相続人が応急措置法施行前に死亡した場合には、その相続については旧法を適用すべきである。