共有者は、共有物に対する不法行為によりこうむつた損害について、自己の共有持分の割合に応じてのみ、その賠償を請求することができる。
共有物に対する不法行為と共有者の損害賠償請求権の範囲
民法249条,民法709条
判旨
共有物が不法に侵害された場合の損害賠償請求権は、各共有者が自己の持分に応じてのみ行使できる分割債権であり、各共有者は自己の持分を超える請求をすることはできない。
問題の所在(論点)
共有物が不法に破壊・侵害された場合に、一部の共有者が、自己の持分を超えて損害全額の賠償を請求することができるか。不法行為に基づく損害賠償請求権の帰属態様が問題となる。
規範
共有物に対する不法行為による損害賠償請求権は、各共有者が自己の持分に応じてのみこれを行使すべきものであり、他人の持分に対しては何ら請求権を有するものではない。したがって、共有物の不法侵害を理由として損害賠償を求める場合、各共有者はそれぞれその共有持分の割合に応じて請求すべきであり、右共有持分の割合を超えて請求をすることは許されない。
重要事実
上告人(被告)は、被上告人ら(原告)3名を含む計8名で共有する原野において、その地上に生立する立木を不法に伐採した。被上告人ら3名は、本件原野につき各10分の1の共有持分を有していたが、上告人に対し、当該不法伐採によって生じた全損害額(6万8100円)の支払を求めて提訴した。原審は、被上告人らの持分を認定しつつも、特段の理由を示すことなく、被上告人ら3名による全損害額の賠償請求をそのまま認容した。
あてはめ
本件立木は、特段の事情がない限り地盤に付合して地盤所有者の共有に属する。被上告人ら3名の持分は各10分の1であり、合計しても10分の3にとどまる。本件損害賠償請求権は金銭債権であり、その性質上、各共有者の持分に応じて分割される分割債権にあたる。それゆえ、被上告人らが全損害額の請求をなす根拠はなく、自己の持分を超えた部分の請求は認められない。原審が持分割合を確定させないまま全額の請求を認めた点には、審理不尽ないし理由不備の違法がある。
結論
各共有者は、自己の持分に応じた範囲内でのみ損害賠償を請求できる。被上告人らによる全損害額の請求を認めた原判決のうち、金員支払を命じた部分は破棄を免れない。
実務上の射程
共有に関する物権法的請求(妨害排除請求等)は保存行為として単独で全範囲について行使可能だが、債権的請求である損害賠償請求や不当利得返還請求は、特段の事情がない限り持分に応じた分割債権となる。答案では、請求の内容が物権的か債権的かを区別し、本判例を根拠に債権的請求の範囲を持分内に限定する論理構成をとるべきである。
事件番号: 昭和36(オ)201 / 裁判年月日: 昭和40年5月27日 / 結論: その他
相続放棄の申述についても、民法第九五条の適用がある。
事件番号: 昭和39(オ)764 / 裁判年月日: 昭和40年5月20日 / 結論: その他
土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる。
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。