不動産登記簿上の地目が農地になつている土地であつても、現況が宅地であれば、農地ではない。
「農地」の意義
農地法2条
判旨
農地法2条1項にいう「農地」に該当するか否かは、不動産登記簿上の地目にかかわらず、その土地の客観的な現況によって判断すべきである。
問題の所在(論点)
不動産登記簿上の地目が「農地」であっても、現況が宅地である土地が、農地法2条1項(旧農地調整法2条)にいう「農地」に該当するか。
規範
農地法2条1項(旧農地調整法2条)にいう「農地」とは、耕作の目的に供される土地を指す。この該当性は、不動産登記簿上の記載(地目)という形式的な基準ではなく、土地の客観的な利用実態(現況)によって判断されるべきである。
重要事実
本件土地は、不動産登記簿上の地目は「農地」として登記されていた。しかし、実際には宅地として利用されており、その客観的な現況は「現況宅地」であった。この土地について農地法上の制限が及ぶか、あるいは「農地」に該当しないかが争点となった。
あてはめ
本件土地は現況が宅地であると認定されている。農地法の目的は農地の適正な利用と保護にあるところ、その適用対象となる「農地」は実体的に判断すべきものである。したがって、登記簿上の地目が農地であっても、現況が宅地である以上、農地法上の「農地」としての性質を欠いていると評価される。
事件番号: 昭和41(行ツ)41 / 裁判年月日: 昭和43年5月28日 / 結論: 破棄差戻
耕地整理の施行により大略一反歩ずつに整然と区画されて後、都市計画法による都市計画区域に編入された土地を対象とする農地買収処分の無効確認訴訟において、旧所有者である原告から、右土地が大都市近郊の住宅地として開発され、戦前すでに風致地区に指定された旨の主張があり、また判示のように、右土地の耕作が必ずしも正当な権原に基づくも…
結論
現況宅地である土地は、登記簿上の地目が農地であっても農地法2条1項の農地には該当しない。
実務上の射程
農地法上の許可(3条、4条、5条)の要否を検討する際の基本となる判例である。「現況主義」を確立したものであり、答案上は、登記の有無にかかわらず客観的状態から農地性を肯定・否定する論拠として用いる。
事件番号: 昭和36(オ)253 / 裁判年月日: 昭和37年9月14日 / 結論: 棄却
公簿上の地目が農地であつても、売買契約当時、現況が農地でない土地については、右契約に知事の許可は必要でない。
事件番号: 昭和38(オ)311 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
現に耕作の目的に供されている土地であつても、不法に開墾されたものであり、開墾の経緯について原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、農地法第二条第一項にいう農地にあたらないと解するのが相当である。
事件番号: 昭和44(オ)498 / 裁判年月日: 昭和44年10月31日 / 結論: 棄却
現況が農地である土地を目的とする売買契約締結後に、右土地を含む周辺一帯が都市計画区域に指定され、順次宅地として分譲されるなど客観的事情が変化し、かつ、買主がこれに地盛りをして売主の承諾のもとに建物を建築するなどしたために、右土地が完全に宅地に変じた場合には、右売買契約は、知事の許可なしに効力を生ずるものと解すべきである…