控訴審において訴を変更し、旧訴を取り下げた場合、判決主文において、旧訴を棄却した第一審判決取消の宣言をすることは違法ではない。
控訴審においていわゆる訴の交換的変更がなされた場合と第一審判決取消の適否
民訴法232条,民訴法386条
判旨
控訴審での訴えの交換的変更は、旧訴の取下げと新訴の提起を伴うため、裁判所は新訴につき実質上第一審として棄却判決をなし、旧訴の失効を確認する意味で第一審判決を取り消すべきである。
問題の所在(論点)
控訴審において訴えの交換的変更がなされ、裁判所が新訴を棄却すべきと判断した場合、判決主文において第一審判決の「取消し」をなすべきか、あるいは「控訴棄却」をなすべきか。訴えの交換的変更に伴う旧訴の失効と第一審判決の取扱いの関係が問題となる。
規範
控訴審において訴えの交換的変更がなされた場合、旧訴は取下げにより遡及的に消滅し、これに伴い第一審判決および控訴も当然にその効力を失う。一方で、交換的に提起された新訴は控訴審において初めて提起されたものであるから、裁判所はこれについて実質上第一審として裁判を行う必要がある。したがって、新訴を棄却すべき場合には、控訴棄却ではなく、第一審判決の失効を確認するための取消しと、新訴に対する棄却判決をなすべきである。
重要事実
上告人(原告)は、第一審において本件建物の一部の明渡しを求めていたが、控訴審(原審)において、この請求を建物全体の明渡しを求める訴えへと交換的に変更した。原審はこの新訴について審理した結果、請求には理由がないと判断し、第一審判決を取り消した上で、上告人の請求(新訴)を棄却する判決を言い渡した。これに対し上告人は、結論が第一審と同じ「棄却」である以上、第一審判決を取り消すべきではなく控訴棄却の言渡しをなすべきであると主張して上告した。
あてはめ
本件では、上告人が原審で建物の全部明渡しという新訴を提起しており、これは第一審では審判されていない事項である。交換的変更により、旧訴(一部明渡し)は取り下げられ、第一審判決は既に遡及的に失効している。そのため、原審が「第一審判決の当否を審判する」という通常の控訴審の枠組みで控訴棄却をなすことは論理的に整合しない。原審が新訴を棄却するに際し、第一審判決が失効したことを確認する意味で主文においてこれを取り消す旨を掲記することは、法的に許容される適法な措置といえる。
結論
控訴審での訴えの交換的変更に対し、新訴を棄却し第一審判決を取り消した原審の判断は正当である。上告棄却。
実務上の射程
訴えの交換的変更の法的性質が「旧訴の取下げ」と「新訴の提起」の複合体であることを示す。控訴審で請求棄却の結論に至る際、一審判決の主文と内容が合致していても「控訴棄却」ではなく「一審取消し+新訴棄却」の形式をとるべきという実務上の判決形式を基礎づける射程を有する。
事件番号: 昭和34(オ)530 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
下宿業の用に供する建物は、地代家賃統制令第二三条第二項第七号の建物に該当する。