甲乙丙間における合一確定が訴訟において、甲が乙丙を相手方として控訴すれば、乙丙間の訴訟も当然控訴審に移審する。
合一確定訴訟において一請求につき控訴があつた場合に他の請求も移審するか
民訴法62条
判旨
債権者が弁済を受領しないことがあらかじめ明瞭である場合には、弁済の提供(口頭の提供)をすることなく弁済供託を行うことが認められる。また、反対給付と引換えに供託する際、同時履行の関係にある債務を反対給付の内容とすることは有効な弁済供託となる。
問題の所在(論点)
債権者が受領を拒絶することが明瞭な場合に口頭の提供を省略してなされた供託の有効性、および同時履行の関係にある移転登記を反対給付条件とした供託の適否が問題となる。
規範
債務者が有効に弁済供託(民法494条)を行うには原則として弁済の提供を要するが、債権者があらかじめ受領を拒絶し、弁済を提供してもこれを受領しないことが明瞭であると認められる場合には、口頭の提供(同法493条但書)すら不要であり、直ちに供託を行うことができる。また、引換給付の条件を付した供託が有効となるには、その反対給付の内容が債務者の有する同時履行の抗弁権(同法533条)の範囲内に合致していることを要する。
重要事実
買戻契約に基づき代金を支払うべき債務者(被上告人)に対し、債権者(上告人)は買戻契約の存在自体を否認して訴えを提起していた。債務者は、口頭の提供をすることなく、代金残額を供託した。その際、債務者は債権者の移転登記義務を反対給付の条件として付し、また遅延損害金を加算せずに供託を行った。債権者側は、提供がないことや条件の不当性を理由に供託の無効を主張した。
事件番号: 昭和30(オ)860 / 裁判年月日: 昭和33年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸人が継続的に賃料の受領を拒絶している場合、賃借人が弁済の提供を継続しなくても、その後の賃料を供託することは有効であり、賃料不払による解除は認められない。 第1 事案の概要:賃借人(被上告人)は、昭和24年から26年の各年末に賃料を持参したが、賃貸人(上告人)はこれを受理せず返還した。さらに昭和…
あてはめ
まず、上告人は買戻契約の存在を否認して本件訴訟を提起していることから、たとえ口頭の提供があったとしても受領しないことが明瞭であったといえる。したがって、口頭の提供を欠いたままなされた供託も有効である。次に、本件買戻契約において代金支払と移転登記は同時履行の関係にあると認められる。そのため、移転登記を反対給付の内容とすることは正当な抗弁権の行使に基づいたものであり、債務の本旨に従った有効な供託と解される。さらに、本来の弁済期後も債権者が代金の一部を受領していた事実に照らせば、遅延損害金の不付加も直ちに不適法とはならない。
結論
本件供託は有効であり、買戻しの効力が発生しているため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
受領拒絶が強固な場合の提供不要説を補強する判例である。答案上は、民法494条1項1号の「受領を拒んだとき」の解釈において、口頭の提供(493条但書)すら不要となる基準として『受領しないことが明瞭な場合』というキーワードを用いる際に参照すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1236 / 裁判年月日: 昭和37年6月26日 / 結論: 棄却
所有権取得登記後、右登記されたとおりの所有権の移転が実際に行われた場合には、その時以後右登記は有効であると解すべきである。