尋問事項書を相手方に交付せずに証人尋問が行われた場合でも、それが再尋問であつて尋問内容を容易に予想することができ、かつ異議なく尋問を終了したときは、該証言を採用しても、違法ではない。
尋問事項書を相手方に交付せずにされた証人尋問の適否
民訴法276条,民訴法295条,民訴規則31条
判旨
証人尋問において尋問事項書の送達を欠く等の手続上の瑕疵があったとしても、当事者が異議を述べずに弁論が終結した場合には、反対尋問権を奪ったものとはいえず、当該証言の採用は適法である。
問題の所在(論点)
尋問事項書の送達を欠いたまま行われた証人尋問について、反対尋問権の侵害を理由としてその証拠採用を違法とすることができるか(民事訴訟法における適正手続と責問権の不行使)。
規範
民事訴訟における証人尋問手続において、当事者が反対尋問権を行使する機会を実質的に保障されていたと認められる場合には、手続上の不備があったとしても、異議なく弁論が終結した以上、受訴裁判所が当該証言を証拠として採用することは許容される。
重要事実
上告人は、原審において行われた証人Dの尋問に関し、尋問事項書を受け取っていないと主張した。しかし、当該証人は第一審においても尋問されており、原審での尋問はその再尋問であった。上告人は、当該尋問に対して異議を述べることなく、そのまま弁論が終結した。
あてはめ
本件証人は第一審で尋問済みであり、原審での尋問内容は上告人にとって十分に予想可能であったといえる。また、上告人は尋問手続に対し何ら異議を述べることなく弁論を終結させている。このような状況下では、実質的な反対尋問権の行使機会は確保されていたと解され、手続上の瑕疵は治癒されたものと評価できる。したがって、当該証言を判決の基礎とした原判決に違法はない。
結論
反対尋問権を奪ったとはいえず、当該証言を採用した判決は適法である。上告棄却。
実務上の射程
手続違背があっても、反対尋問の機会が実質的に保障されており、かつ当事者が異議なく弁論を終結させた場合には、責問権の喪失(民訴法90条参照)により瑕疵が治癒されることを示す。答案上は、手続保障の充足と責問権の不行使をセットで論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和41(オ)1417 / 裁判年月日: 昭和42年9月29日 / 結論: 棄却
商品仲買人が、商品取引所法第九七条に違反して、委託手数料および委託証拠金を徴することなく商品市場における売買取引をしても、右違反は、商品仲買人と委託者との間の契約の効力に影響を及ぼすものではない。