訴訟代理人が口頭弁論期日に出頭したかどうかは、口頭弁論の方式に関する事項であつて、民訴法第一四七条本文により調書によつてのみ証することができるものである。
訴訟代理人の口頭弁論期日の出頭の有無は口頭弁論の方式に関する事項か。
民訴法147条
判旨
証人尋問の申請に対し、裁判所が明示的な却下決定をすることなく結審した場合であっても、訴訟指揮及び経過から取調べ不要として暗黙に却下したものと認められるときは適法である。
問題の所在(論点)
当事者の証拠申出に対し、裁判所が明示的な決定をせず結審した場合に、民事訴訟法上の証拠採否に関する手続的な違法が認められるか。
規範
裁判所は、当事者が申し出た証拠で取調べの必要がないと認めるものは、これを取り調べないことができる。この際、必ずしも明示的な却下決定を要するものではなく、訴訟指揮の全過程や事件の経過に照らし、当該証拠を不要として取り調べない意思が客観的に認められる場合には、暗黙の却下決定があったものと解するのが相当である。
重要事実
上告人(控訴人)は、原審において5名の証人尋問を申請した。しかし、原審裁判所は、これらの証人尋問の申請に対して採用するか却下するかという明示的な決定を一切行わないまま、口頭弁論を終結(結審)させた。上告人は、証拠調べの申出に対する決定を欠いたまま判決に至った点に手続上の違法があるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審は上告人が申請した5名の証人について、決定を出さずに結審している。しかし、本件訴訟の具体的な指揮の態様や、それまでの審理の経過を総合的に考慮すれば、原審はこれらの証言について、既に得られた証拠等に照らして立証の必要がないと判断したものと推認できる。すなわち、裁判所が特段の措置を講じず結審した行為自体が、当該証拠申請を不要として却下する「暗黙の決定」を含んでいたと解される。したがって、手続上の違法は存在しない。
結論
原判決に違法はなく、証拠申出を明示的に却下せず結審しても、暗黙の却下が認められる限り適法である。
実務上の射程
裁判所の証拠採否(民訴法181条1項)に関する裁量を広く認める判例である。答案上は、裁判所が証拠調べを行わなかった不作為を攻撃する際の抗弁、あるいは裁判所の合理的な訴訟指揮を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)43 / 裁判年月日: 昭和35年4月26日 / 結論: 棄却
証人尋問が唯一の証拠方法であつても、右尋問期日に証人および申請当事者が出頭せず、しかも従来その当事者は病気、示談、調停などを理由として期日の延期または訴訟手続の停止申請をくり返すだけで訴提起以来数回行われた口頭弁論期日に一度も出張したことがたく訴訟代理人の選任もしない等の経過から見て、たとえ証人尋問のため新期日を指定し…