いわゆる伝聞証言の証拠能力は当然に制限されるものではなく、伝聞証言の採否は、裁判官の自由な心証による判断に委されているものと解すべきである。
伝聞証言の証拠能力
民訴法185条
判旨
民事訴訟において、伝聞証言の証拠能力は当然に制限されるものではなく、その採否は裁判官の自由な心証による判断に委ねられる。
問題の所在(論点)
民事訴訟において、伝聞証言(公判外の第三者の供述を内容とする証言)に証拠能力が認められるか。また、その採否は裁判官の合理的な裁量の範囲内か。
規範
民事訴訟法における自由心証主義(民訴法247条)の下では、証拠能力に原則として制限はない。したがって、伝聞証言であっても当然に証拠能力が否定されるものではなく、その事実認定における実質的価値(証明力)の評価は、裁判官の合理的な裁量に委ねられる。
重要事実
上告人らは、対象となるB地域およびC地域が自らの所有地であると主張したが、原審は証拠に基づきこれを否定した。上告人らは、原審が伝聞証言を採用して事実認定を行ったことは違法であるとして、上告を提起した。
あてはめ
事件番号: 昭和32(オ)204 / 裁判年月日: 昭和34年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事訴訟において伝聞証言の証拠能力は制限されず、その採否は裁判所の自由な心証に委ねられる。 第1 事案の概要:上告人は、原審が証人Dの証言を他の証言等と比較した上で排斥した措置について、証拠判断を誤り採証法則に反する違法があると主張して上告した。本件では伝聞証言の証拠能力およびその評価の適法性が争…
民事訴訟においては刑事訴訟のような伝聞法則(刑訴法320条1項)の適用はなく、証拠能力の制限は存在しない。本件において原審が伝聞証言を証拠として採用し、他の証拠と照らして事実認定の資料としたことは、自由心証主義の範囲内における適法な証拠の取捨選択である。当該伝聞証言を排除すべき特段の事情も認められないため、原審の判断に違法はない。
結論
伝聞証言を採用した事実に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における「証拠能力の無制限」を象徴する判例である。答案上では、伝聞証拠の許容性を論じる際の根拠として本判例を引用し、結論として「証拠能力は認められるが、証明力の評価において慎重な検討を要する」という論理構成をとるのが一般的である。
事件番号: 昭和31(オ)549 / 裁判年月日: 昭和34年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実体上の権利に基づかない増歩登記(地積増加の登記)は無効であり、それにより不動産所有権を取得したとは認められない。また、不法行為者は民法177条にいう「第三者」に該当しないため、真実の所有権者は登記なくして所有権を対抗できる。 第1 事案の概要:上告人は、係争土地(無地番の山林)が隣接する自己所有…
事件番号: 昭和27(オ)352 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法242条ただし書の規定により権原に基づいて不動産に附属させた物の所有権は、対抗要件(明認方法等)を備えずとも、不動産の譲受人を含む第三者に対抗することができる。 第1 事案の概要:被上告人は、正当な権原に基づいて他人の土地に立木を植栽した(民法242条ただし書)。その後、上告人が当該土地の所有…