検察審査会の議決に対しては、行政訴訟の提起が許されないと解すべきである。
検察審査会の議決に対する行政訴訟提起の許否
憲法32条,裁判所法3条,検察審査会法27条,行政事件訴訟法3条
判旨
検察審査会の議決は、申立人または第三者の具体的な権利義務ないし法律関係に対して直接の影響を与えるものではないため、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に該当せず、行政訴訟の対象とならない。
問題の所在(論点)
検察審査会の議決の取消し等を求める訴えは、裁判所法3条に規定される「法律上の争訟」にあたるか。また、これを認めないことが憲法32条に違反するか。
規範
裁判所法3条が規定する「法律上の争訟」とは、法規の適用によって解決し得べき当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争をいう。また、憲法32条は、法律上裁判所の権限とされている事項について裁判を受ける権利を保障したものである。
重要事実
上告人は、検察審査会が行った議決を不服とし、当該議決の取消し等を求める行政訴訟を提起した。原審は、検察審査会の議決が具体的な権利義務に直接影響を与えるものではないとして、本件訴えを不適法として却下したため、上告人が憲法32条違反等を理由に上告した。
事件番号: 昭和29(オ)913 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】市議会が行った決議の無効確認を求める訴えは、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらず、訴訟要件を欠く不適法なものとして却下されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、B市議会がなした議決について、その無効確認を求めて出訴した。第一審裁判所は、当該請求が「法律上の争訟」に当たらないこと、およ…
あてはめ
検察審査会法41条の規定によれば、検察審査会の議決は、申立人や第三者の具体的な権利義務ないし法律関係に対して直接的な影響を及ぼす性質のものではない。したがって、本件紛争は具体的な法律関係の存否に関するものとはいえず、裁判所法3条の「法律上の争訟」の要件を欠く。憲法32条が保障する裁判を受ける権利は、法律上の裁判所の権限事項についてのものであるため、法律上の争訟にあたらない事項を訴訟の対象から除外することは同条に違反しない。
結論
検察審査会の議決は法律上の争訟にあたらず、その取消しを求める訴えは不適法である。したがって、本件上告を棄却する。
実務上の射程
「法律上の争訟」の定義(具体的権利義務に関する紛争性)を、統治機構や行政不服の文脈で示す典型的な判例である。行政処分性の検討において「直接の法的影響」が否定される場合の理論的根拠として有用である。
事件番号: 昭和39(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
人事委員会に不利益処分の審査請求をした手続の当事者であつても、同委員会に対し、その議事録の閲覧を請求する権利が与えられているものではない。
事件番号: 昭和26(オ)584 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
村議会の予算議決の無効確認を求める訴は不適法である。
事件番号: 昭和36(オ)66 / 裁判年月日: 昭和38年12月10日 / 結論: 棄却
弁護士会の綱紀委員会がした懲戒に付するを相当とする旨の決議およびこれに基づいて弁護士会が同会の懲戒委員会に対してなした懲戒審査請求の無効確認の訴は不適当である。