人事委員会に不利益処分の審査請求をした手続の当事者であつても、同委員会に対し、その議事録の閲覧を請求する権利が与えられているものではない。
人事委員会に不利益処分の審査請求をした者と同委員会の議事録の閲覧請求権。
地方公務員法11条3項,行政事件訴訟特例法1条
判旨
人事委員会の不利益処分審査請求の当事者には、法律上の明文規定がない限り、当然には議事録の閲覧請求権は認められない。また、前審の準備手続に関与した裁判官が本案に関与することは、除斥事由である「前審の裁判に関与した」ことには当たらない。
問題の所在(論点)
1.裁判官が第一審の準備手続を行ったことが、民訴法上の除斥事由(前審の裁判への関与)に該当するか。 2.人事委員会の審査請求人に対し、明文の規定がない場合に議事録の閲覧請求権が認められるか。
規範
1.民事訴訟法上の除斥事由である「前審の裁判に関与した」とは、裁判という国家意思の形成(評決および裁判書の作成)に関与したことをいい、準備手続等の準備的行為に関与したことは含まれない。 2.人事委員会の議事録閲覧請求権の有無は立法政策に属する事項であり、法律(地方公務員法)や委員会規則に特段の定めがない限り、審査請求人に対して当然に右請求権が認められるものではない。
重要事実
上告人は、岡山県人事委員会に対し不利益処分の審査請求を行った当事者である。上告人は人事委員会の議事録閲覧を求めたが拒否されたため、その取消し等を求めて出訴した。また、本件の原審に関与した裁判官が、第一審において準備手続を担当していたことから、民事訴訟法上の除斥事由に該当するかが争われた。
事件番号: 昭和25(オ)200 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
昭和二三年法律第一七九号(地方自治法の一部を改正する法律)附則第二条第五項の都道府県議会の議決の取消を求める訴は不敵法である。
あてはめ
1.除斥について:裁判官西内氏は第一審の準備手続を行ったに過ぎず、評決や裁判書の作成といった国家意思の形成プロセスには関与していないため、除斥事由には当たらない。 2.閲覧請求権について:地方公務員法11条は議事録作成を義務付けるのみであり、細目は人事委員会規則に委ねている。岡山県人事委員会規則には閲覧に関する規定が存在しない。審査請求人は手続に関与し実態を知り得る立場にある上、議事録に絶対的証明力はないため、閲覧権がないからといって直ちに手続的正義に反するとはいえず、制度設計は立法政策の範疇である。
結論
1.裁判官の除斥事由には該当せず、原判決に違法はない。 2.現行法制下において審査請求人に議事録閲覧請求権は認められず、閲覧拒否処分の取消訴訟は許されない。
実務上の射程
行政手続における適正手続の保障の限界、および民事訴訟法上の除斥事由の意義(「裁判」の範囲)を示す重要判例である。行政不服申立等において、明文なき資料閲覧権の主張を否定する際の強力な論拠となる。
事件番号: 昭和39(行ツ)64 / 裁判年月日: 昭和40年12月10日 / 結論: 棄却
公務員を分限免職にするかどうかは、行政庁の自由裁量に属する。
事件番号: 昭和25(オ)205 / 裁判年月日: 昭和29年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】都道府県知事が市町村の廃置分合等を行う前提となる県議会の議決は、外部に対し直接法律上の効果を及ぼすものではないため、行政処分に当たらない。 第1 事案の概要:昭和23年法律179号(現行の地方自治法関連)に基づき、県知事が市町村の廃置分合または境界変更を定めるにあたり、その前提要件として当該都道府…
事件番号: 昭和58(行ツ)127 / 裁判年月日: 昭和63年1月21日 / 結論: 棄却
教職員組合が教職員の定数確保、昇級・昇格の完全実施等の要求を掲げていつせい休暇闘争を行つたが、当時県当局が実施した定数削減、定期昇級・昇格発令延伸等は極度の財政逼迫状態のもとでやむなくとられた措置であり、また、右休暇闘争は三日間にわたり三日間で県下小・中学校の教職員の延べ約八割七分に及ぶ約五二〇〇名が参加して行われたも…
事件番号: 昭和30(オ)631 / 裁判年月日: 昭和32年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地買収の申出は農地委員会の積極的行為ではないため委員会の決議を要さず、会長は委員会の代表者として当然にこれを受理する権限を有する。したがって、会長の斡旋による調停の成立があれば、その調停が会長の個人的行為や法令違反を含むものであっても、適法な買収申出があったと認められる。 第1 事案の概要:上告…