村議会の予算議決の無効確認を求める訴は不適法である。
村議会の予算議決の無効確認を求める訴の適否
裁判所法3条,行政事件訴訟特例法1条,地方自治法96条1項本文2号
判旨
村議会の予算議決は、それ自体では住民の具体的な権利義務に直接関係せず、具体的な権利義務に関する争訟とはいえないため、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」に当たらない。
問題の所在(論点)
村議会による予算議決の効力を争う訴えが、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に該当し、裁判所の審判の対象となるか。
規範
裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」とは、①当事者間の具体的な権利義務に関する紛争であり、かつ②法令を適用することによって終局的に解決し得るものをいう。行政処分に該当しない行為や、具体的な権利義務に直接影響を及ぼさない公権力の行使は、特別の法的根拠がない限り、適法な訴えの対象とはならない。
重要事実
上告人(住民側)は、村議会においてなされた予算議決の効力を争い、その無効等を求めて出訴した。当該予算議決は村の内部的な意思決定であり、これに基づき村長が課税等の行政処分を行う前段階の行為であった。
あてはめ
事件番号: 昭和28(オ)449 / 裁判年月日: 昭和34年7月20日 / 結論: 棄却
一、 普通地方公共団体が地方自治法第二四三条の二第四項の訴に応訴する場合には議会の議決を必要としない。 二、 地方自治法第二四三条の二は、同条が地方自治法の改正によつて加えられた以前の事実について適用がないものと解すべきである。 三、 地方自治法第二四三条の二の遡及適用を否定しても、憲法第九二条、第九四条に違反しない。
村議会の予算議決は、単にそれだけでは村住民の具体的な権利義務に直接関係するものではない。住民の権利義務に直接の影響が生じるのは、村長が当該議決に基づき課税その他の行政処分を行った時点である。したがって、予算議決がなされた段階では、未だ行政処分が存在せず、具体的な権利義務に関する争訟があるとはいえない。また、当該議決の効力を直接争うことを認める特別な法律の規定も存在しないため、司法審査の対象とはならない。
結論
本件予算議決に対する出訴は不適法であり、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たらないため、訴えは却下されるべきである。
実務上の射程
司法審査の対象(法律上の争訟)の定義のうち、具体的な権利義務の変動を伴わない「内部的行為」や「準備的行為」は原則として対象外であることを示す典型例である。行政法における処分性の要件とも密接に関わり、一般処分的性質を持たない議決等の争訟可能性を否定する際に引用される。
事件番号: 昭和29(オ)913 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】市議会が行った決議の無効確認を求める訴えは、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらず、訴訟要件を欠く不適法なものとして却下されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、B市議会がなした議決について、その無効確認を求めて出訴した。第一審裁判所は、当該請求が「法律上の争訟」に当たらないこと、およ…
事件番号: 昭和33(オ)368 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】村役場の位置決定において住民が享受する利益は事実上の利益にすぎず、法律上の利益ではないため、住民資格のみに基づく訴えは不適法である。 第1 事案の概要:村役場の位置の決定に対し、当該村の住民たる上告人らが、住民としての資格に基づき、その決定の妥当性や手続きの違法を争って訴えを提起した事案。原審は本…
事件番号: 昭和25(オ)314 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を異議、訴願を経ないとの理由で不適法として却下し、その判決に対して高等裁判所に控訴が提起された場合において、同裁判所は右判決を取り消し地方裁判所に差し戻さず直ちに同一の理由で訴を却下して差支えない。
事件番号: 昭和31(オ)557 / 裁判年月日: 昭和31年10月23日 / 結論: 棄却
村長不信任議決の無効確認を求める訴は、新村長が選挙せられその効力が確定した後は、その利益を失う。