一、 普通地方公共団体が地方自治法第二四三条の二第四項の訴に応訴する場合には議会の議決を必要としない。 二、 地方自治法第二四三条の二は、同条が地方自治法の改正によつて加えられた以前の事実について適用がないものと解すべきである。 三、 地方自治法第二四三条の二の遡及適用を否定しても、憲法第九二条、第九四条に違反しない。
一、 普通地方公共団体が地方自治法第二四三条の二第四項の訴に応訴する場合における議会の議決の要否 二、 地方自治法第二四三条の二の遡及適用の許否 三、 地方自治法第二四三条の二の遡及適用の否定と憲法第九二条、第九四条
地方自治法243条の2,地方自治法96条1項本文10号,地方自治法243条の2第4項の規定による請求に関する規則(昭和23年最高裁判所規則28号)2項,行政事件訴訟特例法1条,民訴法58条,民訴法50条1項,憲法92条,憲法94条
判旨
普通地方公共団体が被告として応訴する場合、地方自治法96条1項10号の定める議会の議決は不要である。また、住民訴訟を提起する権利は実体法上の権利であり、法律の改正により新設された場合には、特別の規定がない限り改正前の事実に対して遡及適用されない。
問題の所在(論点)
1. 地方公共団体が被告として応訴する場合に、地方自治法96条1項10号に基づく議会の議決が必要か。 2. 改正により新設された住民訴訟に関する規定が、改正前の事実に対して遡及適用されるか。
規範
1. 地方自治法96条1項10号は、地方公共団体が当事者である訴訟に関し議決を要する旨定めるが、被告として応訴する場合には、関係諸規定の趣旨に照らし議会の議決を要しない。 2. 住民訴訟を提起する権利は、単なる手続法上の権利ではなく実体法上の権利である。したがって、法律に特別の経過規定がない限り、当該権利の創設以前の事実について遡及的に行使することは許されない。
重要事実
事件番号: 昭和26(オ)584 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
村議会の予算議決の無効確認を求める訴は不適法である。
上告人(住民)が、被上告人(a村)に対し、村が行った売買等の無効を主張して訴えを提起した。これに対し、a村側は議会の議決を経ずに応訴した。また、本件の対象となる事実は昭和23年の地方自治法改正(住民訴訟制度の導入)以前のものであったため、改正後の規定(旧243条の2)を遡及適用して訴えを提起できるかが争点となった。
あてはめ
1. 応訴について:行政事件訴訟特例法や民事訴訟法の規定を総合すれば、被告として応訴する場合には議決を必要としないと解するのが相当である。したがって、議決証明書の提出がないことも違法ではない。 2. 遡及適用について:住民訴訟の提起権は、昭和23年の改正により初めて住民に与えられた実体法上の権利である。本件の事実はこの権利が認められる以前のものである。法律に特別の経過規定が存在しない以上、法の不遡及の原則に基づき、改正前の事実について改正後の住民訴訟を提起することは認められない。
結論
1. 地方公共団体の応訴に議会の議決は不要である。 2. 住民訴訟に関する規定に遡及適用は認められず、改正前の事実を対象とする本件訴えは認められない。
実務上の射程
地方公共団体の応訴手続きにおける議決の要否に関するリーディングケースである。また、住民訴訟が「実体法上の権利」であることを明示しており、新法適用の限界(法の不遡及)を検討する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和33(オ)368 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】村役場の位置決定において住民が享受する利益は事実上の利益にすぎず、法律上の利益ではないため、住民資格のみに基づく訴えは不適法である。 第1 事案の概要:村役場の位置の決定に対し、当該村の住民たる上告人らが、住民としての資格に基づき、その決定の妥当性や手続きの違法を争って訴えを提起した事案。原審は本…
事件番号: 昭和29(オ)980 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
村長が行政事件訴訟特例法第三条によつて訴訟当事者になる場合には、地方自治法第九六条第一項第一〇号による村議会を要しない。
事件番号: 昭和38(オ)210 / 裁判年月日: 昭和39年2月14日 / 結論: 棄却
原判決が農地買収計画が失効したと認定したのは不合理ではない。
事件番号: 昭和28(オ)608 / 裁判年月日: 昭和30年4月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】真実の所有者でない者を対象とした農地買収処分は、違法ではあるが当然無効とはならない。真実の所有者が処分を知り得たのに不服申立期間を徒過した場合は、もはや訴訟でその違法を主張することは許されない。 第1 事案の概要:本件農地は、贈与により真実の所有者となった被上告人が占有・管理していたが、未登記のた…