地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を異議、訴願を経ないとの理由で不適法として却下し、その判決に対して高等裁判所に控訴が提起された場合において、同裁判所は右判決を取り消し地方裁判所に差し戻さず直ちに同一の理由で訴を却下して差支えない。
地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を管轄以外の理由で不適法として却下した判決とこれに対する控訴が高等裁判所に提起された場合における同裁判所の裁判
地方自治法(昭和25年法律101号、同143号による改正前のもの)66条1項,地方自治法(昭和25年法律101号、同143号による改正前のもの)66条4項,民訴法388条
判旨
普通地方公共団体の議会の議員の解職の投票に関する争訟において、投票前の過程における個々の処分の違法は独立した争訟の対象とはならない。これらは、投票後にその投票や結果の効力を争う訴訟において、投票無効の原因としてのみ主張することができる。
問題の所在(論点)
普通地方公共団体の議会の議員の解職請求受理のような、投票実施前の過程における行政処分の違法を、独立した争訟の対象として裁判所に出訴することが認められるか。
規範
地方自治法に基づく議員の解職請求手続等において、その過程における個々の行政処分の違法を独立して争うことを許容する直接の規定は存在しない。同法85条、66条1項、施行令115条の規定を総合すると、解職投票に関しては投票の効力または結果の効力に関してのみ争訟を提起し得ると解される。したがって、投票前の個別処分の違法は、独立した取消訴訟等の対象となるのではなく、後の投票に関する争訟における投票無効の原因として主張されるべきものである。
重要事実
a村議会議員の解職(リコール)請求がなされ、選挙管理委員会がこれを受理した。上告人(議員側)は、この解職請求受理処分に違法があるとして、解職の投票が行われる前に、当該受理処分の取消しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和33(オ)118 / 裁判年月日: 昭和35年12月7日 / 結論: 棄却
村長解職賛否投票の効力に関する訴は、右村が吸収合併によつてなくなつた後においては、その利益がなくなつたものと解すべきである。
あてはめ
本件における解職請求の受理処分は、解職投票が行われる前の過程における手続の一つである。地方自治法上の争訟規定は「投票の効力」または「結果の効力」に限定されており、これ以外の事前手続について個別独立の出訴を認める根拠はない。したがって、本件受理処分の違法を理由にその取消しを求める訴えは、法律上許されない手続であるといえる。
結論
解職請求受理処分の取消しを求める訴えは認められない。上告を棄却する。
実務上の射程
選挙・解職手続における「争訟の対象の限定」を示す重要判例である。行政手続が連鎖して最終的な効果(当選、解職等)を発生させる場合、特段の規定がない限り、中間段階の処分(内定、受理等)は独立した訴訟の対象にならず、最終的な効力を争う中でその違法を主張すべきという「手続の遮断」の考え方を支える。答案では、行政事件訴訟法上の処分性や訴えの利益、争訟形態の選択が問われる場面で参照される。
事件番号: 昭和26(オ)584 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
村議会の予算議決の無効確認を求める訴は不適法である。
事件番号: 昭和33(オ)878 / 裁判年月日: 昭和34年2月13日 / 結論: 棄却
地方自治法第七四条の二第八項の訴訟には行政事件訴訟特例法第二条の適用はない。
事件番号: 昭和28(オ)1194 / 裁判年月日: 昭和30年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】普通地方公共団体の長の解職請求における署名の効力は、地方自治法が定める独立の争訟手続によってのみ争うことができ、解職投票の効力を争う訴訟において主張することはできない。また、解職投票において解職賛成が過半数に達し、その効力が確定した後は、署名の効力を争う訴えの利益は消滅する。 第1 事案の概要:上…