温泉掘さく許可処分に基づく掘さくにより自己の温泉湧出量に影響を受けたことを主張して、右許可処分の取消を訴求するような場合においても、その訴の提起が右許可処分の日から一年を経過した後であるときは、出訴の遅延につき正当な事由の主張も疎明もないかぎり、不適法な訴と認むべきである。
処分による権利利益の侵害が直ちに判明しないような場合と出訴期間
行政事件訴訟特例法5条
判旨
行政処分の取消訴訟における出訴期間の制限は、処分の直接の相手方とそれ以外の第三者を区別せず適用され、客観的期間については処分の日から起算すべきである。
問題の所在(論点)
行政事件訴訟特例法5条(現行行政事件訴訟法14条)の出訴期間につき、第三者が原告となる場合に客観的期間の起算点である「処分の日」を処分の効果が具体的に発生した日と解釈できるか。また、第三者について同条1項(主観的期間)の適用が排除されるか。
規範
行政処分の取消訴訟における出訴期間は、主観的期間(処分を知った日から6か月)と客観的期間(処分の日から1年)の二重の基準により制限される。この制限は処分の相手方であるか第三者であるかを問わず一律に適用され、第三者が提起する場合であっても、客観的期間の起算点である「処分の日」を処分の影響が判明した日などと解釈することはできない。
重要事実
温泉掘削許可処分(昭和32年12月24日)を受けた訴外人らが掘削を開始したところ、既存の温泉業者である上告人らの温泉湧出量に影響が出た。上告人らは、影響が明らかとなった昭和34年1月下旬が「処分の日」にあたると主張し、昭和34年12月18日に本件許可処分の取消訴訟を提起した。
あてはめ
出訴期間の規定は、行政処分の法的安定性を早期に確定させる趣旨であり、処分の相手方とそれ以外の者を区別して適用する根拠はない。本件では処分日は昭和32年12月24日であり、提訴時点で1年以上が経過している。上告人らは「処分の日」を影響判明時と主張するが、文言上「処分の日」は処分がなされた日を指す。また、期間徒過につき「正当な事由」の疎明もないため、本件訴えは不適法となる。
結論
本件訴えは客観的出訴期間を経過した後に提起されたものであり、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
現行行政事件訴訟法14条にも妥当する。第三者が提起する訴訟であっても、主観的・客観的の両期間に拘束されることを明示した。実務上、第三者が期間徒過後に提訴する場合は「正当な理由」(14条1項但書・2項但書)の有無が主戦場となるが、本判決は「処分の日」自体の解釈を動かすことは認めない姿勢を示している。
事件番号: 昭和32(オ)128 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
一 温泉法第四条は、温泉の掘さくが温泉源を保護しその利用の適正化を図るという公益的見地からとくに有害と認められる場合以外は、掘さくの許可を与えねばならないとの趣旨を定めたものと解すべきであつて、新規の掘さくが、少しでも既存の温泉井に影響を及ぼす限り絶対に掘さくを許可してはならないとの趣旨を定めたものと解すべきではない。…
事件番号: 昭和31(オ)141 / 裁判年月日: 昭和35年9月15日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基く県知事の換地予定地指定処分のより違法に権利を害されたとするものの訴願を提起することは許されず、行政事件訴訟特例法第五条に従い、直接裁判所に出訴することのみが許される。
事件番号: 昭和44(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 破棄自判
土地所有者が、鉱業法施行法七条一項の通知を受け、その後三〇日以内に追加鉱物を目的とする鉱業権の設定の出願をした場合であっても、右所有者が自作農創設特別措置法四一条による売渡によつて右土地の所有権を取得した者であり、その出願が鉱業法(昭和二五年法律第二八九号)施行後五年余も経過したのちにされたものである等、判示の事情(判…