立木法の適用を受けない立木でも、右立木のみを土地から分離して独立して取引の対象とすることができる。右の場合において、一定の地番の上に生育の立木という以上、その立木の範囲は確定していると解するのが相当である。
立木法の適用を受けない立木と取引の対象の可否−右の場合における特定の方法はどうか
民法176条,民法178条,立木ニ関スル法律2条
判旨
土地に生立する立木は、立木法による登記がなくても、土地から分離して独立の取引対象として譲渡することが可能であり、特定の地番上の立木として範囲が確定していれば、交換契約等の合意により所有権が移転する。
問題の所在(論点)
立木法に基づく登記のない未分離の立木について、土地から独立して所有権移転を認めることができるか。また、その所有権移転の時期はいつか。
規範
土地に生立する立木は、立木法に基づく所有権保存登記を経ていない場合であっても、当該立木のみを土地から分離し、独立した取引の対象として譲渡の目的とすることができる。その所有権移転の効力は、対象となる立木の範囲が特定されている限り、当事者間の合意によって生じる。
重要事実
地盤の所有者であるDと被上告人との間で、特定の地番の上に生育している本件係争立木と、建築材とを交換する旨の合意が成立した。しかし、上告人側は、当該立木が土地から独立した取引対象にならないこと、または交換契約によって直ちに所有権が移転するものではないことを主張して争った。
あてはめ
本件係争立木は、地盤所有者Dと被上告人との交換合意により、土地から分離・独立した取引対象となったことが明らかである。また、当該立木は特定の地番上に生育しているものであるから、交換対象としての範囲は確定している。したがって、意思表示(交換合意)のみによって所有権は被上告人に移転しており、単に債務を負担するにとどまるものではない。
結論
立木は土地から独立して取引の対象となり、範囲が特定されていれば合意により所有権が移転する。したがって、被上告人は本件立木の所有権を取得する。
実務上の射程
未分離の立木が独立の不動産として扱われる慣習を追認した判例である。答案上は、明認方法の要否が問題となる前段階の「独立の取引可能性」の根拠として利用する。登記や明認方法がない場合でも、当事者間では合意により所有権移転の効力が生じることを示す際に有用である。
事件番号: 昭和27(オ)350 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法242条ただし書にいう権原によって附属させた物の所有権は、公示方法を具備していなくても第三者に対抗することができる。 第1 事案の概要:本判決文には具体的な事案の詳細は記載されていないが、不動産に附属した物(立木等と推認される)の所有権の帰属およびその第三者に対する対抗力が争点となった事案であ…
事件番号: 昭和23(オ)53 / 裁判年月日: 昭和24年9月27日 / 結論: 棄却
ある土地につき実質上地上権を有せず登記簿上地上権として表示されているに過ぎない者は、右土地につき時効により地上権を取得した者に対し、その登記の欠缺を主張することができない。
事件番号: 昭和40(オ)654 / 裁判年月日: 昭和41年10月21日 / 結論: 棄却
地盤上に植栽された立木の所有権を取得した者は、明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、右地盤(土地)を地上の右立木とともに買いうけ右土地についてその所有権移転登記を経由した第三者に対し、前記立木所有権取得を対抗することができない。
事件番号: 昭和33(オ)949 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権確認及び物件引渡請求の訴えにおいて、係争地が自己の所有地に属するか否かの判断は、境界確定の訴えを要することなく、証拠に基づく裁判所の事実認定によって決することができる。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、本件松丸太材が自己の所有であることの確認と引渡しを求め、上告人(被告)に対し提訴した…