民訴法第四二〇条第一項第六号および第七号にいう「判決ノ証拠ト為リタル」とは、再審の訴をもつて不服を申し立てられた確定判決の理由中において当該証拠を事実認定の資料としていることをいう。
民訴法第四二〇条第一項第六号および第七号にいう「判決ノ証拠ト為リタル」の意義
民訴法420条1項6号,民訴法420条1項7号
判旨
民訴法338条1項6号及び7号(旧420条1項6号及び7号)にいう「判決の証拠となつた」とは、不服を申し立てられた確定判決の理由中において、当該証拠が事実認定の資料とされていることをいう。
問題の所在(論点)
民事訴訟法338条1項6号および7号(旧420条1項6号・7号)に規定される再審事由としての「判決の証拠となつた」の意義が問題となる。
規範
民訴法338条1項6号(旧420条1項6号)の「判決の証拠となつた書類」および同項7号(旧同7号)の「判決の証拠となつた」証言とは、再審の訴えをもって不服を申し立てられた確定判決の理由中において、当該証拠が事実認定の資料として用いられていることを要する。
重要事実
上告人は、Dによる売渡証の偽造(旧6号)および証言の虚偽(旧7号)を理由として、確定判決に対する再審の訴えを提起した。しかし、当該確定判決の判文を確認したところ、問題となっているDの証言および売渡証は、判決の理由において事実認定の資料として採用されていなかった。原審はこれを理由に再審の訴えを許されないと判断したため、上告人が上告した。
事件番号: 昭和38(オ)59 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
偽証の内容が争点と直接関係なく判決に影響を及ぼさないことが明白である場合には、当該証人の証言を証拠とした判決に民訴法第四二〇条第一項第七号の再審事由はない。
あてはめ
本件において、Dの証言および売渡証が確定判決において事実認定の資料とされていないことは、当該判決の判文上明らかである。したがって、たとえこれらの証拠に偽造や偽証の疑いがあったとしても、それらは判決の基礎(事実認定の資料)となっていない以上、法定の再審事由における「判決の証拠となつた」ものには当たらないといえる。
結論
Dの偽証および証拠偽造を理由として確定判決に対し再審の訴えを提起することは許されない。
実務上の射程
再審事由(民訴法338条1項各号)の解釈に関する基礎的判例である。答案上は、証拠の偽造や偽証を主張して再審を論ずる際、単にその事実があるだけでなく、それが「判決の理由中で事実認定に用いられたこと(因果関係)」が必要であることを示す規範として活用する。
事件番号: 昭和39(オ)1115 / 裁判年月日: 昭和40年5月4日 / 結論: 棄却
民訴法第四二〇条第一項第七号を理由とする再審の訴において証人らに対し偽証罪などの告訴手続をしたとしても、同条第二項の要件を具備するとはいえない。
事件番号: 昭和36(オ)1187 / 裁判年月日: 昭和38年12月17日 / 結論: 棄却
偽証罪で告発された証人が起訴猶予処分を受けた場合でも、後日起訴されて有罪判決を受ける可能性が残つているから、再審のため民訴法第四二〇条第二項の要件を具えることが不可能となつたとはいえない。