消極。
控訴判決の採用した証拠の偽証、偽造を理由として上告判決に対する再審の申立をすることができるか。
判旨
上告審の判決に対する再審の訴えにおいて、下級審の事実認定の証拠となった証言の偽証や証拠の偽造等を理由とする場合は、上告審自らが当該証拠に基づき事実認定を行っていない限り、適法な再審事由にあたらない。
問題の所在(論点)
上告審判決に対する再審の訴えにおいて、下級審の事実認定の基礎となった証拠の瑕疵(偽証・偽造等)を理由に再審を請求することが認められるか。換言すれば、法律審である上告審の判決自体に直接の再審事由が認められる必要があるかが問題となる。
規範
上告審(法律審)の判決に対する再審事由(民事訴訟法338条1項各号)の存否は、その上告審判決自体において当該事由が直接認められるか否かによって判断される。具体的には、証拠の偽造・変造や偽証(同項4号、7号)を理由とする場合、上告審判決が自らそれらの証拠を事実認定の基礎としたのでない限り、当該上告審に対する再審事由には該当しない。
重要事実
再審原告は、最高裁判所の上告判決に対し再審の訴えを提起した。再審理由として、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断を遺脱したこと(民訴法338条1項9号類推)、および前訴の控訴審判決において事実認定の証拠となった証人Dの証言が偽証であり、提出された書証(甲1号証、2号証)が偽造または変造されたものであること(同項4号、7号)を主張した。
あてはめ
まず、判断遺脱の点については、上告判決において当該論旨に対し必要な判断が既になされており、事由を欠く。次に、偽証および偽造・変造の点について検討するに、再審原告が指摘する証拠(証人Dの証言および各書証)は、あくまで前訴の控訴審判決において事実認定の証拠とされたものにすぎない。最高裁判所は法律審であり、自らこれらの証拠を直接用いて事実の認定を行ったわけではない。したがって、上告審判決それ自体に証拠の瑕疵に基づく再審事由があるとは認められない。
事件番号: 昭和38(オ)59 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
偽証の内容が争点と直接関係なく判決に影響を及ぼさないことが明白である場合には、当該証人の証言を証拠とした判決に民訴法第四二〇条第一項第七号の再審事由はない。
結論
本件再審の訴えは、適法な再審事由を欠くため、却下を免れない。
実務上の射程
法律審である最高裁の判決に対する再審の訴えは極めて限定的である。事実認定の誤りやその基礎となった証拠の瑕疵を争う場合は、原則として事実認定を行った下級審判決を対象として再審を申し立てるべきであり、最高裁判決を対象とする場合には最高裁自身の判断(判断遺脱等)に固有の事由がなければならないことを示す。
事件番号: 昭和27(オ)393 / 裁判年月日: 昭和29年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審の訴えを提起できる事由は、民事訴訟法に列挙された事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)に限られ、それ以外の事由による再審は認められない。一旦確定した判決の法的安定性を尊重する観点から、再審事由の規定は例示的なものではなく、限定的なものである。 第1 事案の概要:建物収去土地明渡請求訴訟…
事件番号: 昭和32(ヤ)21 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、訴状に記載された事由が民事訴訟法所定の再審事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、「再審の上訴」と題する書面を提出して再審の訴えを提起した。…
事件番号: 昭和42(オ)1125 / 裁判年月日: 昭和43年9月24日 / 結論: 棄却
事実の認定の資料に供された証言をした証人に対し偽証の告訴手続がとられたというだけでは、適法な再審事由、したがつて適法な上告理由とはならない。
事件番号: 昭和29(テ)5 / 裁判年月日: 昭和30年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対する特別上告は、憲法の解釈の誤りやその他の憲法違反がある場合に限り許容される。実質的に単なる法令違背を主張するものは、特別上告の適法な理由とは認められない。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、最高裁判所へ上告を申し立…