同一の農地に関し農地法第三条および第五条の規定に基づく知事の複数の許可があっても、私法上の権利関係の優劣は、知事の許可の先後によらず、私法の一般原則によって決定されると解すべきである。
農地法第三条および第五条の規定に基づく知事の複数の許可のある場合と私法上の権利関係の順位。
農地法3条1項本文,農地法5条1項本文
判旨
裁判上の和解における法律関係の表示が、過去の売買に基づく従前の法律関係を確認しその履行条件を定める趣旨である場合、当該和解に基づく権利承継を請求原因とすることができる。
問題の所在(論点)
裁判上の和解において表示された法律関係が、単に従前の売買関係を確認し履行条件を定めたに過ぎない場合、その和解に基づく権利の承継を請求原因として主張できるか。
規範
裁判上の和解の内容が、新たな権利関係の創設(創設的効力)を目的とするものではなく、既往の法律関係を確認した上でその具体的な履行条件を合意する趣旨である場合には、当事者はその合意に基づき、承継した権利の行使を主張し得る。
重要事実
昭和34年7月1日に訴外DとEとの間で売買契約が成立した。その後、DとEの間で当該売買に基づく従前の法律関係を確認し、その履行条件を定める趣旨の裁判上の和解が成立し、和解調書が作成された。被上告人らは、この和解において表示された仮登記権利者たる地位を承継したと主張して、本件訴訟を提起した。
事件番号: 昭和35(オ)153 / 裁判年月日: 昭和36年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟上の和解において確定された条項の解釈は、和解に至る経過や関連する登記等の事実関係、条項の文言に照らして判断されるべきであり、確定した和解内容が従前の法律関係と異なる場合であっても、和解の効力(民法696条)によりその内容が拘束力を持つ。 第1 事案の概要:訴外Dと訴外E殖産株式会社との間で、本…
あてはめ
本件の和解調書に表示された売買等の法律関係は、訴外D・E間で成立していた従前の法律関係を確認し、履行条件を定めたものである。そうであれば、被上告人らが仮登記権利者としての地位を承継したという事実は、和解によって確認された既往の権利関係を基礎とするものである。したがって、被上告人らが当該地位の承継に基づき請求を行うことは、訴訟上の請求原因として正当であると解される。
結論
本件和解は従前の法律関係を確認する趣旨であり、その地位の承継を理由とする被上告人らの請求は正当である。
実務上の射程
裁判上の和解に創設的効力(民法696条類推)が認められるか、それとも確認的効力にとどまるかの解釈指針を示す。答案上は、和解の趣旨が既往の権利関係の確認にある場合、その権利承継を基礎とした請求が認められる根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)79 / 裁判年月日: 昭和35年8月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本人が代理人に対して特定の法律行為(本件では不動産の売買契約)を行うための権限を授与していた場合には、当該代理人が本人の名において行った行為の効果は本人に帰属する。 第1 事案の概要:本件において、上告人の代理人であるDは、被上告人である宮城県との間で、上告人が所有する本件建物を売り渡す旨の売買契…
事件番号: 昭和37(オ)1400 / 裁判年月日: 昭和39年11月13日 / 結論: 棄却
ある契約が甲乙間に成立したものと主張して右契約の履行を求める訴が提起された場合に、裁判所が右契約は甲の代理人と乙との間になされたものと認定しても弁論主義に反するものとはいえない。
事件番号: 昭和39(オ)1107 / 裁判年月日: 昭和42年2月23日 / 結論: 棄却
昭和三九年(オ)第七七号同四一年一一月一八日第二小法廷判決(民集二〇巻九号一八二七頁掲載)と同旨。
事件番号: 昭和33(オ)705 / 裁判年月日: 昭和36年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買代金の支払方法に関する契約において、買主が残代金の大部分を期日に弁済しなかったことにより、担保の目的物たる山林の所有権が確定的に売主に帰属するとした原審の判断を適法として維持した。 第1 事案の概要:上告人(買主)と被上告人(売主)は、土地の売買契約を締結したが、その代金支払方法について、残代…