調停の有効無効は、調書の文言のみに拘泥せず、一般法律行為の解釈の基準に従つてこれを判定すべきものである。
調停調書の解釈
家事審判法21条
判旨
調停の有効無効および内容の解釈については、調書の文言のみに拘泥せず、一般法律行為の解釈の基準に従って判定すべきである。
問題の所在(論点)
調停条項の解釈において、調書に記載された文言のみに拘束されるべきか、あるいは一般の法律行為と同様の解釈基準を適用すべきか。
規範
調停は当事者の合意を基礎とするものであるから、その内容の解釈にあたっては、調停調書の文言のみにとらわれることなく、一般の法律行為の解釈基準(公序良俗、信義則、当事者の真意等)に従って判定すべきである。
重要事実
上告人と相手方との間で調停が成立し、調停調書が作成された。その調書第2項には上告人の債務に関する条項が含まれていたが、その性質(単純な債務か連帯保証債務か等)について争いが生じた。原審は、証拠関係および事実関係に基づき、当該債務を連帯保証債務であると認定した。
あてはめ
本件における調停条項の解釈について、原審が挙げた証拠関係および事実関係を照らし合わせると、調書第2項の記載は連帯保証債務を指すものと認められる。文言上の形式にのみ固執するのではなく、当事者の合意の合理的な解釈として、連帯保証債務と解するのが相当である。
結論
本件調停条項の解釈について一般法律行為の解釈基準を用いた原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
調停調書は確定判決と同一の効力を有するが、その内容の解釈については、判決書の解釈よりも広く、当事者の合意形成過程や真意といった法律行為的側面を重視できる。答案上は、条項の解釈が問題となる際に、文言から出発しつつも合意の趣旨を斟酌する根拠として本判例を引用できる。
事件番号: 昭和40(オ)652 / 裁判年月日: 昭和42年4月11日 / 結論: 棄却
執行債権と競落代金との差引計算は配当期日において許された場合にはじめてその効力を生ずるものであるから、控訴人(上告人)が原判示のごとくあらかじめ差引計算の意思表示をしても、これにより控訴人の本件債権および費用が消滅するいわれはない旨の原審の判断は正当である。