証拠の排斥については、その理由を一々具体的に判示することを要しない。(昭和三〇年(オ)第八五一号同三二年六月一一日第三小法廷判決、民集一一巻六号一〇三〇頁参照)
証拠の排斥と理由の具体的判示。
民訴法185条,民訴法395条1項6号
判旨
口頭弁論の再開申請に対する許否の判断は裁判所の裁量に属するものであり、申請を却下しても直ちに違法とはならない。また、証拠を排斥するに際しては、その理由を一つずつ具体的に判示することを要しない。
問題の所在(論点)
口頭弁論の再開申請を却下することが違法となるか。また、判決書において証拠を排斥する理由を具体的に記載する必要があるか。
規範
口頭弁論の再開(民事訴訟法153条)を行うか否かは裁判所の裁量に属する。また、裁判所が証拠を取捨選択し事実を認定するにあたって、排斥する証拠の理由を個別に具体的に示す必要はない。
重要事実
上告人は、原審において口頭弁論の再開申請が認められなかったこと、釈明権の不行使があったこと、および証拠の取捨選択や事実認定に論理法則・経験法則の違背や理由不備があることを理由として上告した。特に、特定の証拠を排斥した理由が具体的に判示されていない点に不服を申し立てた。
あてはめ
弁論の再開は裁判所の職権(裁量)による事項であり、再開しないことが当然に違法を構成するものではない。本件においても、裁判所が再開申請を容れなかったことに何ら違法はない。さらに、事実認定は証拠の取捨選択を含め裁判所の専権に属する。証拠の排斥理由を個別に説示しなかったとしても、判決の理由不備には当たらない。
結論
本件上告は棄却される。口頭弁論の再開を認めず、証拠排斥の具体的理由を明示しなかった原審の判断に違法はない。
実務上の射程
弁論終結後の新証拠提出に伴う再開申請の可否が争点となる事案で、裁判所の広範な裁量を基礎づける判例として活用できる。また、判決書の理由不備(民訴法312条2項6号)を主張する相手方に対し、証拠排斥理由の不記載が直ちに理由不備にならないことを示す反論の根拠となる。
事件番号: 昭和35(オ)1432 / 裁判年月日: 昭和36年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開は裁判所の裁量に委ねられた事項であり、当事者に再開を請求する権利は認められないため、裁判所が弁論再開申請に応じず判決を言い渡しても違法ではない。 第1 事案の概要:控訴審において弁論が終結した後、控訴代理人が弁論再開の申請を行った。しかし、原審(控訴審裁判所)はこの申請に応じることなく、…