判旨
弁論の再開は裁判所の裁量に委ねられた事項であり、当事者に再開を請求する権利は認められないため、裁判所が弁論再開申請に応じず判決を言い渡しても違法ではない。
問題の所在(論点)
弁論終結後における当事者の弁論再開申請に対し、裁判所がこれに応じずに判決を言い渡すことが、手続上の違法(裁判を受ける権利の侵害等)を構成するか。弁論再開の可否に関する裁判所の裁量の有無が問題となる。
規範
一旦終結した弁論を再開するか否かは、当該裁判所の合理的な裁量に委ねられている。当事者は権利として弁論の再開を請求し得るものではなく、当事者による弁論再開の申請は、裁判所の職権発動を促す意味を持つに過ぎない。
重要事実
控訴審において弁論が終結した後、控訴代理人が弁論再開の申請を行った。しかし、原審(控訴審裁判所)はこの申請に応じることなく、そのまま判決を言い渡した。これに対し、上告人は弁論を再開しなかったことが憲法32条(裁判を受ける権利)や訴訟法に違反するとして上告した。
あてはめ
弁論の再開は裁判所の職権事項であり、当事者に法的な申請権は認められない。本件において、控訴代理人が弁論再開を求めたとしても、それは裁判所に対して職権発動を促したに過ぎない。したがって、裁判所がその申請を採用せず、弁論を再開しないまま判決の手続を進めたとしても、裁判所の裁量の範囲内であって、手続上の瑕疵は認められない。
結論
弁論再開の申請に応じなかった原判決に瑕疵はなく、憲法違反や訴訟法違反の主張には理由がないため、上告は棄却される。
実務上の射程
弁論終結後の新証拠提出や主張の追加を目的とした弁論再開申請について、裁判所に義務がないことを示す。実務上、裁判所が再開を拒絶しても直ちに上告理由とはならないが、重大な事実の看過がある場合など、裁量の逸脱・濫用が疑われる例外的な場面以外では、本判例の論理が維持される。
事件番号: 昭和33(オ)562 / 裁判年月日: 昭和35年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開は裁判所の自由な裁量に属し、当事者に再開申立の機会を与える法的義務はない。また、適法な期日告知を受けたにもかかわらず正当な事由なく欠席した当事者に対し、更なる判決言渡期日の呼出を要しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の第一回口頭弁論期日に出頭し、次回の期日指定に異議を述べなかった。…
事件番号: 昭和39(オ)180 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
証拠の排斥については、その理由を一々具体的に判示することを要しない。(昭和三〇年(オ)第八五一号同三二年六月一一日第三小法廷判決、民集一一巻六号一〇三〇頁参照)