控訴審第1回口頭弁論期日変更申請にあたつて提出された診断書に「肋間神経痛のため右胸痛著しく、向後当分安静加療を要するものと認める」旨の記載があるにとどまり、右期日に出頭できない程度の状態かどうかの判定資料のない場合に、右期日変更申請を却下し、即日弁論を終結した点に違法はない。
期日変更につき顕著な事由がないとされた事例。
民訴法152条
判旨
当事者が病気を理由に期日変更を申請しても、診断書の内容等から「期日に出頭できない程度の状態」であることが十分に疎明されない限り、裁判所が申請を却下して審理を進めることに手続上の違法はない。
問題の所在(論点)
当事者が提出した診断書に具体的な出頭不能の程度が明記されていない場合、期日変更申請を却下して弁論を終結させた裁判所の訴訟手続は、裁量権の逸脱・濫用として違法となるか(民訴法93条・244条等の解釈)。
規範
期日の変更は「顕著な事由」がある場合に限り認められる(民訴法93条3項)。病気を理由とする申請においては、単に加療を要する旨の記載だけでなく、当該疾患によって「期日に出頭することが不能または著しく困難であること」を客観的な資料により疎明する必要がある。裁判所の合理的な裁量により、疎明が不十分と判断される場合には、申請を却下して弁論を終結させることができる。
重要事実
控訴審(原審)の第1回口頭弁論期日の前日、上告人は「肋間神経痛のため右胸痛著しく、向後当分安静加療を要する」旨の医師の診断書を添えて期日変更申請書を提出した。しかし、相手方である被上告人が期日変更に同意しなかったため、原審は当該申請を却下した。原審は、上告人が欠席したまま即日弁論を終結し、上告人敗訴の判決を言い渡した。
あてはめ
本件診断書の記載は「安静加療を要する」という抽象的内容にとどまり、具体的に「期日に出頭できない程度の状態であるか否か」を判定するには不十分である。また、他にこの点を疎明するに足りる資料も存在しない。したがって、上告人が期日に出頭できないほどの「顕著な事由」があるとは認められず、裁判所が申請を却下して弁論を終結させた判断に違法はないと評価される。
結論
上告人の期日変更申請を却下して即日弁論を終結した原審の手続は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
当事者の手続保障と訴訟遅延の防止の衡量を示す。答案上では、期日変更(93条3項)や不出頭時の判決(244条)の適法性を検討する際、疎明資料の「具体的必要性」を論じる際の論拠として使用できる。実務的には、病気欠席を主張する際は、移動の可否を含む具体的な出頭不能性の疎明が求められることを示唆している。
事件番号: 昭和33(オ)562 / 裁判年月日: 昭和35年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開は裁判所の自由な裁量に属し、当事者に再開申立の機会を与える法的義務はない。また、適法な期日告知を受けたにもかかわらず正当な事由なく欠席した当事者に対し、更なる判決言渡期日の呼出を要しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の第一回口頭弁論期日に出頭し、次回の期日指定に異議を述べなかった。…