工場抵当法第三条所定の目録に記載された機械器具が、工場に属する土地および建物の公売処分において、誤つてその対象から除外された場合、右土地および建物の買受人は、右機械器具の所有権を取得するものではない。
工場抵当法第三条所定の目録記載の機械器具が工場に属する土地および建物の公売処分において誤つてその対象から除外された場合、右土地および建物の買受人は右機械器具の所有権を取得しうるか
工場抵当法3条
判旨
工場抵当法3条の目録に記載された物件であっても、公売手続において目的物から明示的に除外された場合には、買受人は当該物件の所有権を取得しない。
問題の所在(論点)
工場抵当法3条の目録に記載された物件が、公売手続において目的物から除外された場合、買受人は当該物件の所有権を取得できるか。また、建物の損傷による操業不能損害は賠償の対象となるか。
規範
不動産の競売(公売)における買受人の所有権取得の範囲は、特段の事情がない限り執行裁判所(公売当局)が示した売却の対象と一致する。工場抵当法3条に基づく目録記載物件であっても、公売の対象から除外する処分がなされた場合には、当該物件に買受による権利移転の効力は及ばない。
重要事実
上告人は、建物の公売処分において当該建物を買い受けた。この際、工場抵当法3条の規定による目録が提出されていた設備物件(三条物件)があったが、公売当局は当該物件を建物とは切り離し、公売の対象から除外して手続を進めた。その後、被上告人が会社代表者と通じてこれらを除去したため、上告人が所有権取得を主張して争った。
あてはめ
本件三条物件は、公売処分に際して(A)(B)建物とは切り離され、明確に公売対象から除外されていた。したがって、公売の目的とされなかった以上、買受人である上告人に所有権が帰属する根拠はない。また、建物の従物であるとの主張や附合の主張についても、原審で主張されておらず独自の法的見解にすぎない。さらに、建物損傷による操業不能損害については、当時の諸事情に照らし、特別の事情によって生じた損害(民法416条2項参照)と解するのが相当である。
結論
公売対象から除外された三条物件の所有権は取得できず、上告人の請求は棄却される。操業不能損害についても、特別事情による損害として制限される。
実務上の射程
工場抵当等の目的物であっても、競売手続における対象物件の画定が優先されることを示す。抵当権の効力の範囲(民法370条)と、競売における売却対象の範囲を区別して検討する際の根拠となる。また、操業停止に伴う逸失利益を特別損害と判断する実務上の傾向を裏付ける。
事件番号: 昭和37(オ)1064 / 裁判年月日: 昭和39年10月8日 / 結論: 棄却
売買契約書上一筆の山林を表示しているが、契約締結当時の諸事情に照らして観察すれば、売買は右山林を構成する地盤の一部を指定し、これを譲渡するという趣旨の契約にほかならないときは、所有権移転の効力は右山林部分についてのみ生ずる。
事件番号: 昭和39(オ)1444 / 裁判年月日: 昭和40年5月25日 / 結論: 棄却
登記簿上主たる建物の附属建物として同一登記用紙に登記されているが、実体上は主たる建物とは別個独立である建物が、登記後に、滅失した場合には、当該登記中右のいわゆる附属建物に関する部分は無効となると解すべきである。