中小企業等協同組合法により設立された「A協同組合」という名称の組合があるのに、同地区に同法により「B商工業協同組合」という名称の組合が設立されたとしても、原判示事実関係のもとにおいては、後者は前者に対して不正競争の目的を有するとはいえない。
中小企業等協同組合法により設立された協同組合に不正競争の目的がないとされた事例
商法20条,中小企業等協同組合法6条
判旨
不正競争防止法上の「不正競争の目的」の存否について、裁判所が確定した事実関係に基づきその証明がないと判断した原審の結論は正当であり、また、複数の証拠申出のうち一部のみを採用することは裁判所の合理的な裁量の範囲内である。
問題の所在(論点)
1. 不正競争防止法上の「不正競争の目的」の認定において、原審の判断に違法があるか。2. 多数の証人申出のうち一部のみを採用した原審の訴訟手続上の措置は、証拠規則に反するか(唯一の証拠方法の該非)。
規範
1. 不正競争防止法における「不正競争の目的」の有無は、諸般の事実関係を総合して判断されるべき事実に属する。2. 民事訴訟における証拠調べの申出のうち、それが「唯一の証拠方法」に該当しない限り、どの証拠を採用しどの証拠を却下するかは裁判所の合理的な裁量に委ねられる。
重要事実
上告人は、被上告人の行為が不正競争にあたるとして提訴した。原審は、上告人および被上告人がいずれも人形の販売を営んでいるものではない等の事実を前提に、被上告人に「不正競争の目的」があることの証明がないと判断した。また、上告人は6名の証人尋問を申し立てたが、原審はそのうち1名のみを採用し、残り5名の証拠調べを行わなかった。
あてはめ
1. 原審が確定した「いずれの組合も人形販売を営んでいない」等の事実関係に照らせば、被上告人に不正競争の目的を認めるに足りる証明がないとした判断は結論において正当である。2. 採用されなかった5名の証人については、記録に照らして「唯一の証拠方法」とは認められない。したがって、1名のみを採用し他を却下した原審の措置は、証拠申請の採否に関する裁判所の合理的な裁量の範囲内にある。
結論
本件上告は棄却される。原審の事実認定および証拠の取捨選択に判決に影響を及ぼすべき違法は認められない。
実務上の射程
実務上、不正目的の認定は事実認定の問題として裁判所の広範な裁量に属することを確認したものである。また、民事訴訟法上の「唯一の証拠方法」に当たらない証拠の却下について、裁判所の裁量を認める判例として、手続的瑕疵を主張する際の反論材料として活用できる。
事件番号: 昭和39(オ)1203 / 裁判年月日: 昭和42年4月11日 / 結論: 棄却
一 不正競争防止法第一条による行為の差止請求をするには、当該行為につき不正競争の目的または不正の目的があることを要しない。 二 不正競争防止法第一条による行為の差止請求として、特定商号の変更登記手続の請求等判示の請求をすることができる。
事件番号: 昭和39(オ)1013 / 裁判年月日: 昭和40年3月18日 / 結論: 棄却
一 「A」と「AB」の両商号は、その文字呼称において「A」が共通であり、後者はこれに「B」の文字を加えたものにすぎないから、右の両商号は類似商号に該当する。 二 「A」と「AB」とは、原審認定の事実関係のもとで、類似商号ということができる。