訳文の添付がなくても、外国語で書かれた文書の意味内容・立証趣旨が口頭弁論および証拠調の結果を通じて明らかにされ、当事者においてもこれを了知していること明らかな場合においては、右文書を採証の用に供しても、判決を違法ならしめるものではない。
訳文の添付のない外国語で書かれた文書を採証の用に供しても違法でないとされた事例
民訴法248条
判旨
自己の商号を使用して営業をなすことを許諾した者は、当該営業を名義貸与人の営業であると誤認して取引をした善意無過失の第三者に対し、商法14条(旧23条)に基づき連帯して弁済する責任を負う。
問題の所在(論点)
商法14条(名義貸与者の責任)の成立要件、特に名義を貸与した者が負うべき責任の範囲と、相手方の誤認および過失の有無が問題となる。
規範
自己の商号を使用して営業をなすことを他人に許諾した者は、その商号の使用により、他人が自己の営業であると誤認して取引をした第三者に対し、当該取引によって生じた債務について、その他人と連帯して弁済する責任を負う(商法14条、旧23条)。本規定の適用については、相手方が名義貸与人を営業主であると信じ、かつ、そのように信じることについて過失がなかったことが必要である。
重要事実
上告会社は、訴外Dに対し、Dが営む営業について上告会社「佐世保出張所」としてその商号を使用することを許諾した。被上告人は、上告会社を当該営業の営業主であると信頼し、Dとの間で本件各取引を行った。被上告人が上告会社を営業主であると信じたことについて、過失は認められなかった。
あてはめ
上告会社は自己の商号をDに貸与しており、外観上、Dの営業が上告会社の営業であるかのような外観を現出させている。被上告人はこの外観を信頼して取引に入っており、上告会社を営業主であると信じたことについて過失も認められない。したがって、上告会社は自ら作り出した外観を信頼した第三者を保護すべく、名義貸与者としての責任を免れない。
結論
上告会社は商法14条(旧23条)により、Dがした本件各取引について、Dと連帯して履行の責に任ずるべきである。
実務上の射程
商法14条の典型的な適用事例。答案では「名義貸借の合意」がある場合に、相手方の「営業主への誤認」と「善意無過失」を認定してあてはめる。また、本判決は民事訴訟法上の外国語書面の証拠能力についても触れており、訳文欠如の瑕疵が口頭弁論等で補完されれば違法とならない旨を示唆している点も実務上留意すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)414 / 裁判年月日: 昭和36年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自己の営業上の名称(商号)の使用を他人に許諾した者は、当該他人を営業主であると誤信して取引をした相手方に対し、連帯して弁済する責任を負う(商法9条、旧商法23条)。 第1 事案の概要:上告人(被告)は、訴外Dに対し、自己の営業上の名称である「E製材」という営業名を使用して営業を行うことを許諾した。…