公正証書を債務名義とする請求異議の訴が、地方裁判所支部の管轄区域内に住所を有する債務者を被告として、当該地方裁判所本庁に提起されても、専属管轄に関する規定に違背したとはいえない。
公正証書を債務名義とする請求異議の訴における専属管轄に関する規定と裁判所本庁および支部との関係
民訴法562条,民訴法563条,裁判所法31条
判旨
裁判上の自白が成立した場合、その撤回が許されるためには、当該自白が真実に反し、かつ、錯誤によってなされたことを要する。本件においても、不当利得返還請求における利率の主張につき自白が成立した後、真実に反し錯誤に基づいたとの立証がない以上、その撤回は認められない。
問題の所在(論点)
相手方の主張する請求原因事実(約定利率)を認める陳述をした後、これを否認して別個の事実を主張することが自白の撤回に当たるか。また、その撤回が許されるための要件は何か。
規範
裁判上の自白が成立した場合、当事者はこれに拘束され、裁判所もこれを基礎として裁判しなければならない。かかる自白を撤回するためには、原則として、その自白が真実に反し、かつ錯誤に基づいたものであることを証明しなければならない。
重要事実
不当利得返還請求訴訟において、被上告人(原告)は、消費貸借契約上の利息・遅延損害金の約定利率を主張した。上告人(被告)は当初この利率を認めていたが、後にこれを否認し、別個の約定利率が存在するとして自白の撤回を試みた。上告人は、自白が錯誤に基づくことを立証するため証人尋問等の証拠調べを求めたが、原審はこれを認めなかった。
あてはめ
不当利得の範囲を定める基礎となる約定利率は、請求原因として主張立証すべき事項である。上告人がこの約定利率を認めた以上、自白が成立する。その後の否認は自白の撤回に当たる。本件では、当該自白が真実に反し錯誤に基づくものであると認めるに足りる証拠がなく、唯一の証拠を却下した等の手続違背も認められないため、撤回の要件を満たさない。
結論
自白の撤回は許されない。上告人が当初認めた約定利率を前提とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
不要証事実(民訴法179条)に関する古典的判例。請求原因に対する「認める」との回答が自白となること、および撤回要件(真実に反すること+錯誤)を再確認するもの。実務上は、一度なされた自白を覆すことの困難性を示す例として機能する。
事件番号: 昭和62(オ)253 / 裁判年月日: 平成6年2月8日 / 結論: 破棄自判
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