民訴法第三五六条の和解に対する請求異議の訴は、訴訟物の価額の如何にかかわらず、和解の成立した裁判所の専属管轄に属する。
民訴法第三五六条の和解に対する請求異議の訴の管轄
民訴法356条,民訴法545条,民訴法563条
判旨
裁判上の和解に対する請求異議の訴えは、訴訟物の価額のいかんを問わず、民事訴訟法第356条(旧法)の規定により、和解が成立した裁判所の専属管轄に属する。
問題の所在(論点)
裁判上の和解に対する請求異議の訴えにつき、和解が成立した裁判所に専属管轄が認められるか(旧民事訴訟法356条の解釈)。
規範
裁判上の和解に基づく請求異議の訴え(民事執行法35条、旧民訴法356条)の管轄については、訴訟物の価額や通常の管轄規定にかかわらず、和解が成立した裁判所の専属管轄に属するものと解すべきである。
重要事実
上告人(原告)と被上告人(被告)の代理人との間で、消費貸借契約、抵当権設定契約、および金沢簡易裁判所における和解が成立した。その後、上告人は当該和解について請求異議の訴えを提起したが、和解が成立した裁判所以外の裁判所に提起されたことから、その管轄の合憲性・適法性が争点となった。
あてはめ
事件番号: 昭和38(オ)237 / 裁判年月日: 昭和40年3月19日 / 結論: 棄却
公正証書には担保物件として土地および建物を供した旨の記載があるのに、その作成を嘱託した委任状には単に建物を供した旨の記載があるにすぎない場合にも、真実該公正証書記載どおりに作成すべき権限を有していたのに土地の記載を脱落したものであることが明らかなときは、右瑕疵は該公正証書の無効をきたす重大なものとは解されない。
最高裁判所は、過去の判例(昭和37年3月15日判決)を維持し、和解に対する請求異議の訴えの管轄を判示。本件和解は金沢簡易裁判所において成立しており、当該和解に基づく請求異議の訴えは、訴額の多寡を問わず、当該和解を成立させた金沢簡易裁判所の専属管轄に属する。したがって、これと異なる管轄を主張する上告人の論旨は採用できない。
結論
本件請求異議の訴えは、和解が成立した裁判所の専属管轄に属するため、これを認めた原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
民事執行法35条3項(旧民訴法356条)が準用する第33条2項に基づき、債務名義が裁判上の和解である場合の請求異議の訴えは、第1審裁判所(和解成立裁判所)の専属管轄となる。実務上、訴額に関わらず簡易裁判所で成立した和解への異議は簡易裁判所へ提起する必要がある点に注意を要する。
事件番号: 昭和34(オ)337 / 裁判年月日: 昭和34年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が口頭弁論期日において控訴理由を陳述し、相手方が否認の主張をした後、裁判長が弁論を終結した事案において、当事者が証拠申出や期日続行の申立てを特に行っていないのであれば、手続上の法令違背はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和33年2月28日の原審第1回口頭弁論期日において控訴理由書に基づき…
事件番号: 昭和32(オ)834 / 裁判年月日: 昭和35年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公正証書に記載された債務額が、その後の合意等により減額された場合であっても、当該公正証書は減額された範囲内において実体的真実に合致し、執行力を保有し続ける。 第1 事案の概要:債務者である上告人らは、講の管理人である被上告人との間で、掛戻金76万8000円について公正証書を作成した。その後、諸般の…
事件番号: 昭和38(オ)1093 / 裁判年月日: 昭和39年6月4日 / 結論: 棄却
登記申請書には抵当権設定と表示されていて「根抵当権」なる文言が用いられていなくても、同申請書に当該抵当権の被担保債権額として元本極度額金何円なる記載がある場合、右申請書によつてなされた根抵当権設定登記は有効である。