判旨
当事者が口頭弁論期日において控訴理由を陳述し、相手方が否認の主張をした後、裁判長が弁論を終結した事案において、当事者が証拠申出や期日続行の申立てを特に行っていないのであれば、手続上の法令違背はない。
問題の所在(論点)
当事者が具体的な証拠申出や期日の続行を申し立てていない状況において、裁判長が弁論を終結することが、判決に影響を及ぼすべき法令の違背(審理不尽や手続保障の侵害)に該当するか。
規範
裁判所が適法に口頭弁論を終結し判決に至るためには、当事者が主張・立証の機会を十分に与えられていることを要する。当事者が弁論の結果を陳述し、相手方がそれに対して反論を行った段階で、更なる証拠申出や期日の続行を求める意思表示がなされない場合には、審理は尽くされたものと解され、弁論を終結しても訴訟手続上の違法は認められない。
重要事実
上告人は、昭和33年2月28日の原審第1回口頭弁論期日において控訴理由書に基づき陳述し、同年12月16日の第6回期日において、被上告人と共に従前の口頭弁論の結果を陳述した。被上告人は上告人の陳述に対し、従前の主張に反する部分は否認すると述べた。これを受けて裁判長は弁論を終結する旨を告知したが、その間、上告人が証拠の申出や、そのための期日延期・続行の申立てを行った形跡は認められなかった。
あてはめ
本件では、上告人は控訴理由を陳述し、数回にわたる期日を経て弁論の結果を陳述している。被上告人による否認がなされた際、上告人が新たな証拠申出を行う、あるいは立証準備のために期日の続行を求める等のアクションを何ら起こしていない以上、裁判所による弁論終結は唐突なものとはいえず、当事者の攻撃防御権を不当に奪ったものとは評価できない。したがって、手続過程に法令違背は存在しないといえる。
結論
上告人において証拠申出や期日続行の申立てをした形跡がない以上、弁論終結に法令の違背はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の適時提出責任や審理不尽が争われる場面での消極例として機能する。当事者が手続保障の欠如を主張するためには、少なくとも期日において証拠申出や続行の意思表示を明確に行っていることが必要であるという実務上の規範を示している。
事件番号: 昭和32(オ)834 / 裁判年月日: 昭和35年11月17日 / 結論: 棄却
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民訴法第三五六条の和解に対する請求異議の訴は、訴訟物の価額の如何にかかわらず、和解の成立した裁判所の専属管轄に属する。