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本人訴訟の判決に訴訟代理人の主張として当事者の主張が摘示されていても単なる誤記と認められ判決に影響を及ぼすべき違法をきたさないとされた事例。
判旨
判決書に当事者の表記を誤る等の明らかな誤記がある場合であっても、それが単なる表示上の誤りであり、判決の結論や内容に影響を及ぼさないときは、判決を破棄すべき違法とはならない。
問題の所在(論点)
判決書において「控訴人」と記載すべき箇所を「控訴代理人」と誤記したり、当事者の呼称に混乱がある場合に、これが判決を破棄すべき違法に該当するか。
規範
判決書における表記の誤りが、前後の文脈や訴訟記録から判断して単なる誤記であることが明らかであり、かつ、その誤りが判決の結論や判断の根拠自体に実質的な影響を及ぼさない場合には、当該誤りは判決に影響を及ぼすべき違法(民訴法312条以下参照)を構成しない。
重要事実
上告人は、原判決の事実適示において、訴訟代理人を委任していないにもかかわらず「控訴代理人」との記載がなされていること、および「控訴人」と「被控訴人」の名称が取り違えられていること等を主張し、原判決には重大な違法があると訴えた。
あてはめ
本件における「控訴代理人」との記載は、訴訟記録や判決の文脈に照らせば「控訴人」とすべきところを誤記したものであることが客観的に明白である。このような誤記は、裁判所の判断内容自体を左右するものではなく、判決の結果に影響を及ぼすべき違法とは到底解されない。また、名称の天地取り違えの事実は記録上確認できず、その他の非難も証拠取捨や事実認定という原審の専権事項に関する不服にすぎない。
結論
判決書の明らかな誤記は、判決の結論に影響を及ぼさない限り上告理由とはならない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
判決更正(民訴法257条)の対象となるような事務的・表示上の誤りについては、上告理由として争うのではなく、更正手続によって是正すべき性質のものであることを示唆している。答案上は、手続違背が「判決に影響を及ぼすべき」ものか否かの判断において、この実質的影響の有無という視点を利用できる。
事件番号: 昭和31(オ)509 / 裁判年月日: 昭和33年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法行為に基づく損害賠償請求において、警告書等の通告における登録番号の誤記は、相手方が製造販売を中止したこととの間に相当因果関係があるとはいえない。 第1 事案の概要:被上告人(権利者)は、上告会社(被疑侵害者)に対し、上告会社の製作・販売する風呂釜が自らの実用新案権を侵害している旨の通告書(警告…