地積の確定に争いあるときは検証の結果によって判定しなければならないという経験則はない。
地積の確定は検証の結果によらねばならないか。
民訴法185条,民訴法259条
判旨
裁判所が事実認定を行う際、検証の申出を採用するか否かは裁判所の自由裁量に属し、特段の事情がない限り、検証を行わずに他の証拠により事実を認定しても審理不尽の違法はない。
問題の所在(論点)
事実認定において、特定の調査手法(検証)が申し立てられた場合、裁判所は必ずこれを行わなければならないか。また、検証を実施せずに事実認定を行うことが審理不尽にあたるか。
規範
事実の認定およびそのための証拠の取捨選択は、原則として事実修得裁判所の専権に属する。また、検証の申出を採用するか否かは裁判所の自由裁量であり、他の証拠によって事実を確定できる場合には、検証を実施しなかったとしても審理不尽の違法を構成しない。
重要事実
本件土地の北側道路の幅員および地積の確定が争点となった事案において、上告人は「地積の確定に争いがあるときは検証の結果を待たねばならない」という経験則を主張した。しかし、原審は検証の申出を採用せず、他の挙示された証拠に基づいて土地の範囲を認定し、錯誤の主張を排斥した。これに対し上告人が、検証を行わなかったことによる審理不尽等を理由に上告したものである。
あてはめ
最高裁は、まず道路幅員の事実認定は原審の証拠評価に基づくものであり、適法であるとした。また、地積確定に検証が必須であるとの主張は独自の視点に過ぎず、法的な経験則として認められないとした。さらに、証拠の取捨選択および検証の申出を採用するか否かは裁判所の自由裁量に属する事項である。本件では原審が他の証拠(甲六号証等)に基づき合理的に判断しており、検証を行わなかったことに違法はないと判断した。
結論
本件土地の範囲確定において検証を行わなかった原審の判断に審理不尽の違法はなく、事実認定は適法であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
実務上、事実認定のプロセスにおいてどの証拠を採用するかは裁判所の広範な裁量に委ねられていることを再確認するものである。司法試験においては、民事訴訟法上の「自由心証主義」や「証拠調べの必要性」を論じる際、裁判所の裁量を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)143 / 裁判年月日: 昭和28年2月17日 / 結論: 棄却
本訴請求の当否を判断するためには、かゝる過払の事実が存することを認め得るか否かを判断すれば足りるのであつて、原審は右の事実を認むべき証拠がない旨を判示しているのであるから、進んでこの事実がないことを積極的に認定したことは、蛇足に過ぎない。 論旨はこの蛇足の部分に関する非難であるが、蛇足の判断につき仮りに瑕疵があつたとし…