附近に類似のものがなく、かつ容易に動かしがたい大石を境界確定の基点とすることは、適法である。
大石を境界確定の基点とすることが適法であるとされた事例。
民訴法191条1項1号
判旨
不法行為により立木の所有権を喪失したとして損害賠償を請求する場合、加害者に少なくとも過失が認められるときは、不法行為に基づく損害賠償責任が成立する。
問題の所在(論点)
不法行為に基づく損害賠償請求において、対象となる物の特定が十分であるといえるか、また、権利喪失について加害者の過失を認めることができるか。
規範
不法行為(民法709条)の成立要件として、加害者の故意または過失、権利侵害、損害の発生、およびそれらの間の因果関係が必要である。特に他人の所有物を損壊・喪失させた場合には、その権利喪失について少なくとも過失が認められれば、不法行為責任を免れない。
重要事実
被上告人(原告)は、山林内の立木の所有権を上告人(被告)の不法行為によって失ったとして、損害賠償を請求した。上告人は、境界の基点となった「大石」の特定が不十分であることや、自らの行為に過失がないこと等を主張して争ったが、第一審および原審は被上告人の請求を認容した。上告人はこれを不服として上告した。
あてはめ
まず、特定について、基点とされた大石は付近に類似のものがなく容易に動かしがたいものであり、図面にも明確に表示されていることから、対象は十分に特定されている。次に、権利侵害について、上告人の行為によって被上告人が立木の所有権を喪失したという事実関係の下では、その喪失が少なくとも上告人の過失に起因するものと認められる。したがって、不法行為の要件を満たすというべきである。
結論
上告人の不法行為責任を認めた原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、立木の不法伐採や境界紛争が絡む不法行為事案において、目的物の特定方法(不動かない自然物の利用)と、権利喪失の事実から過失を推認する手法を確認したものである。実務上は、検証調書や図面に基づく特定プロセスの正当性を主張する際の参考となる。
事件番号: 昭和37(オ)510 / 裁判年月日: 昭和38年12月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】境界確定の訴えにおいて、公図や公簿は絶対的な証拠力を有するものではなく、他の的確な証拠によりその記載に誤りがあることを認めることができる。また、境界確定の訴えの当事者は相隣地の所有権者であれば足り、相続等による所有権取得の対抗要件(登記)を備えている必要はない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人…
事件番号: 昭和37(オ)965 / 裁判年月日: 昭和38年11月12日 / 結論: 棄却
松一本を盗伐した者が杉四七石、松二五石の盗伐の告訴を所有者から受けた場合には、実質と右告訴の内容とを異にし、これにより取調を受ける被告訴者の苦痛の程度もまた相違するから、右不当な内容の告訴により受ける精神的損害につき不法行為が成立しうる。
事件番号: 昭和39(オ)764 / 裁判年月日: 昭和40年5月20日 / 結論: その他
土地の共有者は、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、各自単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる。