農業協同組合員であるからといつて、組合と第三者との間の土地売買の無効を主張し該土地が依然組合の所有に属することの確認を求める利益があるとはいえない。
確認の利益がないとされた事例。
民訴法225条
判旨
農業協同組合法19条1項に基づく専ら利用契約は、組合経営の安定を目的とするものであり、組合員個人の利用権確保を直接の目的とするものではないため、組合員が組合の所有権を自ら確認する法律上の利益は認められない。
問題の所在(論点)
組合員は、農業協同組合法19条1項に基づく施設の利用に関連して、組合の所有権を確認する訴えの利益を有するか。また、固定資産税の負担等の事実から賃貸借類似の契約関係が推認されるか。
規範
農業協同組合法19条1項の趣旨は、組合員が専ら当該組合の施設のみを利用し、他の施設を利用しないことを内容とする契約を通じて、組合経営の安定を図る点にある。本条項は、直接には組合員の利用権の確保を目的とするものではないため、組合員であるという地位のみをもって、組合と第三者間の取引の無効を主張したり、組合の所有権を自ら確認したりする訴えの利益は認められない。
重要事実
上告人ら(組合員)は、被上告人(農業協同組合)が国との間で行った本件土地に関する取引の無効を主張し、当該土地が被上告組合に属することの確認を求めた。また、上告人らは当該土地の固定資産税を納めていた事実を根拠に、賃貸借類似の契約が成立していると主張したが、組合側は答弁書を通じて使用権を否定する意思を表示していた。
事件番号: 昭和37(オ)671 / 裁判年月日: 昭和38年10月18日 / 結論: 棄却
原審において主張なく認定のない事実をもつて原判決の確認の利益に関する判断を非難することは、上告理由として採用できない。
あてはめ
農協法19条は組合経営の安定を目的とする規定であり、個々の組合員に特定の権利を付与するものではない。上告人らが組合員であるとしても、組合の所有権を第三者に対して確認する法律上の利益はない。また、固定資産税の納付という事実のみでは賃貸借類似の契約成立は認められず、むしろ訴訟上の答弁書送達により、暗黙に解除の意思表示がなされたと評価される。
結論
組合員には組合の所有権を確認する訴えの利益はなく、確認の訴えを却下した原審の判断は正当である。また、土地の使用権についても黙示の解除が認められる。
実務上の射程
団体の内部構成員が、団体の権利義務関係(所有権等)について第三者に対し確認を求める際の「訴えの利益」を否定した事例として活用できる。特に組合法等の行政的・組織的な規定が個人の私権を創設するものではないことを示す際に有用である。
事件番号: 昭和42(オ)629 / 裁判年月日: 昭和42年12月12日 / 結論: 棄却
農地の小作農であると主張する者は、当該土地が非農地であるとして知事の許可なくして他に譲渡された場合、譲渡の両当事者を相手方として、当該土地の所有権が譲渡人に属することの確認を求める法律上の利益を有しない。
事件番号: 昭和38(オ)889 / 裁判年月日: 昭和41年12月23日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第三〇条に基づく未墾地買収処分により国がその所有権を取得した場合でも、その所有権の取得については、民法第一七七条が適用される。
事件番号: 昭和36(オ)201 / 裁判年月日: 昭和40年5月27日 / 結論: その他
相続放棄の申述についても、民法第九五条の適用がある。