建設業法第一九条は、書面によらない建設契約を無効とする趣旨ではないと解すべきである。
建設業法第一九条の法意。
建設業法19条,民法91条
判旨
建設業法19条は、建設工事の請負契約の締結に際して書面の交付を求めているが、これは契約の明確化を意図したものであり、書面によらない契約の効力を否定するものではない。
問題の所在(論点)
建設業法19条(契約締結時の書面交付義務)に違反して、書面を作成せずになされた契約の私法上の効力が認められるか、また人証によって契約の存在を認定できるか。
規範
建設業法19条は、農地法25条と同様に、契約の当事者に対して書面の作成・交付を義務付けているが、これは後日の紛争を防止し、取引の適正を図る趣旨の規定であり、書面によらない契約を無効とする効力規定ではない。
重要事実
本件において、上告人と被上告人の間で保証契約が締結されたが、当該契約を記載した書面(甲一号証)が存在しなかった。上告人は、建設業法19条の規定に基づき、書面によらない契約は無効である、または証拠として認められない旨を主張して、原審の事実認定を争った。
あてはめ
建設業法19条は行政上の取締規定としての性質を有するにすぎず、私法上の効力を左右するものではない。本件では、書面が存在しない場合であっても、人証などの他の証拠によって契約の成立を認定することが可能である。したがって、書面がないことを理由に直ちに契約の存在を否定することはできず、原審が人証に基づき保証契約の存在を認定した判断に違法はない。
結論
建設業法19条は書面によらない契約を無効とする趣旨ではないため、同条に違反して書面が作成されていなくても、契約は有効に成立し、人証によってその存在を認定できる。
実務上の射程
行政法規に違反する契約の私法上の効力(取締規定と効力規定の区別)に関する判断枠組みとして、建設業法関係の事案で活用できる。また、書面作成義務がある場合でも、それが証拠能力や実体法上の有効性を直ちに奪うものではないことを示す論理として有用である。
事件番号: 昭和38(オ)237 / 裁判年月日: 昭和40年3月19日 / 結論: 棄却
公正証書には担保物件として土地および建物を供した旨の記載があるのに、その作成を嘱託した委任状には単に建物を供した旨の記載があるにすぎない場合にも、真実該公正証書記載どおりに作成すべき権限を有していたのに土地の記載を脱落したものであることが明らかなときは、右瑕疵は該公正証書の無効をきたす重大なものとは解されない。