地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審事件について、同地方裁判所が言い渡す判決は控訴審たる資格でなすものであるから、右再審事件の終局判決に対する上訴としては、高等裁判所に対する上告のみが許される。
地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審と右再審事件の判決に対する上訴。
民訴法423条,民訴法393条1項
判旨
地方裁判所が控訴審として下した判決に対する再審判決への不服申立ては、誤って控訴状として提出された場合であっても、法が許す唯一の上訴である上告の申立てとして扱うべきである。
問題の所在(論点)
地裁の控訴審判決に対する再審判決に対し、誤って「控訴状」を提出して不服を申し立てた場合、裁判所はこれを法的に可能な「上告の申立て」として扱う義務があるか。
規範
不服申立書等の書面に誤った呼称が用いられている場合であっても、当該不服申立ての趣旨が、対象となる判決に対して法が許容している唯一の不服申立手段(上告等)をなすにあると解されるときは、裁判所はこれを正当な上訴の申立てとして扱うべきである。
重要事実
熊本地方裁判所が控訴審(第二審)としてなした判決に対し、再審の訴えが提起された。同地裁は再審事件を審理し、再審請求を棄却する判決を言い渡した。これに対し、再審原告は福岡高等裁判所に対し「控訴状」と題する書面を提出して不服を申し立てた。福岡高裁はこれを控訴として受理し、控訴審としての訴訟手続を経て判決を下した。
あてはめ
地裁が控訴審としてなした判決に対する再審事件の判決は、控訴審の資格でなされるものである。これに対する不服申立てとして法(民訴法349条、旧423条等)が許容するのは高等裁判所への「上告」のみである。上告人が「控訴状」を提出したとしても、その真意は当該判決に対し法が認める唯一の不服申立てを行う点にあると解するのが相当である。したがって、受理した高裁はこれを上告として扱い、上告手続に従って審理すべきであったが、控訴として扱った原審の手続は不当である。
結論
原判決を破棄し、福岡高等裁判所に差し戻す。上告人の不服申立ては上告として受理・審理されるべきである。
実務上の射程
当事者の書面上の誤りに拘泥せず、法的に可能な唯一の救済手段を選択したものと解釈すべきという「不服申立ての性質決定」に関する基本判例である。答案上は、上訴の適法性や裁判所の教示義務、訴訟行為の解釈が問題となる場面で、当事者の真意を尊重し権利救済を図る法理として活用できる。
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