自作農創設特別措置法第五条第四号の規定による主務大臣の指定する土地に関する件(昭和二三年一月二九日農林省告示第一〇号)は、耕地整理法に基づき耕地整理を施行した土地で宅地としての利用を増進する効果を伴つたもののうち、その施行が都市計画法施行以前に設立された耕地整理組合によつてなされたものに限り、これをもつて自作農創設特別措置法第五条第四号の主務大臣の指定する「都市計画法第一二条第一項の規定による土地区画整理を施行する土地」に準ずる土地としたものであつて、その施行が都市計画法施行以後にかかる土地は当然買収から除外する旨を定めたものではない。
自作農創設特別措置法第五条第四号の規定による主務大臣の指定する土地に関する件(昭和二三年一月二九日農林省告示第一〇号)の趣旨。
昭和23年1月29日農林省告示10号,自作農創設特別措置法5条4号
判旨
自作農創設特別措置法に基づく買収において、告示に掲げられた買収除外要件に形式的に該当しない土地であっても、買収当時の客観的事状から土地使用目的の変更を相当とすることが明白とはいえない限り、買収処分に重大かつ明白な瑕疵があるとは認められない。
問題の所在(論点)
告示が定める買収除外の指定要件を形式的に満たさない土地について、宅地化の実態があることを理由に買収処分を当然に無効(重大かつ明白な瑕疵)と解することができるか。また、買収後の事情(売渡保留決定等)が処分当時の瑕疵の判断に影響を与えるか。
規範
行政処分の無効を主張するためには、原則として、処分に重大かつ明白な瑕疵が存在することを要する。土地の買収除外事由については、法令や告示の規定に基づき判断されるべきであるが、形式的に特定の指定要件(告示上の日付制限等)に該当しない場合、他に「近く土地使用の目的を変更することを相当とすることが客観的に明白な状況」にあるなどの特段の事情が認められない限り、適法な買収対象となり得る。
重要事実
事件番号: 昭和28(オ)1395 / 裁判年月日: 昭和30年1月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の違法性が重大であっても、それが当然無効とされるためには、瑕疵が明白であることを要する。本件のように農地としての性質を一部有する土地の買収処分において、農地性の判断に誤りがあるとしても、直ちに当然無効とはならない。 第1 事案の概要:上告人の所有する土地は、もともと農地であったが、一時的に…
上告人の土地に対し、自作農創設特別措置法に基づく買収処分がなされた。上告人は、当該土地が耕地整理法により宅地化されたものであり、農林省告示(昭和23年第10号等)が定める買収除外の指定要件(昭和8年5月10日以前の組合設立等)を実質的に満たしていると主張した。しかし、本件組合の設立は昭和3年1月25日であり、盛岡市への都市計画法施行(同年1月1日)後であったことから、告示の文理上の要件を厳密には充足していなかった。
あてはめ
まず、告示の文理上、都市計画法施行後に設立された組合による土地を買収除外とする根拠は見出し得ない。次に、買収処分当時において、本件土地が「近く土地使用の目的を変更することを相当とすることが客観的に明白な状況」にあったとは認められない。さらに、買収処分後に売渡保留の決定がなされたという後発的な事実があったとしても、その一事をもって買収処分当時に遡って重大かつ明白な瑕疵を内包していたと断じることはできない。したがって、本件買収処分は有効である。
結論
本件買収処分に重大かつ明白な瑕疵は認められず、処分は有効である。上告を棄却する。
実務上の射程
行政処分の公定力と無効事由の判断基準に関する事例である。処分当時の客観的事実に基づき「重大かつ明白な瑕疵」の有無を判断すべきであり、後発的な事情によって処分の有効性が遡及的に否定されることはないという、処分の効力確定の重要性を示す趣旨で活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)348 / 裁判年月日: 昭和39年7月7日 / 結論: 棄却
行政処分の無効を主張するについては、当該行政処分に重大かつ明白な瑕疵があることを具体的事実に基づいて主張すべきである。
事件番号: 昭和37(オ)1388 / 裁判年月日: 昭和38年12月12日 / 結論: 棄却
利害関係を有する者が農地委員会長として関与してなされた自作農創設特別措置法三条の規定に基づく農地買収計画樹立決議は、違法ではあるが、他に著しく決議の公正を害する特段の事由の認められないかぎり無効ではない。
事件番号: 昭和39(行ツ)21 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第四号により買収除外の指定を受けた区域内にある小作地であつても、これを同法第三条第一項第二号にいう在村地主の保有小作面積に算入することは許される。
事件番号: 昭和37(オ)1389 / 裁判年月日: 昭和38年11月1日 / 結論: 棄却
一 農地買収処分の前提としての調査が十分になされたかどうかは、当該処分の有効無効に関係しない(昭和三六年三月七日第三小法廷判決、民集一五巻三号三八一頁)。 二 共有にかかる農地を単独所有であるとして為した買収処分の違法は、その誤認が原審判示のように無理からぬ事情のもとでなされた以上、重大かつ明白な瑕疵ということはできず…