民事調停法第一六条は、合意成立の際調停調書が作成されていることを要求しているものではない。
民事調停法第一六条の法意。
民事調停法16条
判旨
民事調停法16条に基づく調停の成立には、当事者間での合意成立に加えて、その合意内容が調書に記載されることが必要である。
問題の所在(論点)
民事調停法16条に基づく調停の成立要件として、当事者間の合意のほかに「調書への記載」が必要か。また、合意成立の瞬間にその場で調書が作成されていることまで必要とされるか。
規範
民事調停法16条の規定によれば、調停の成立には、①当事者間に合意が成立すること、および②その合意が調書に記載されることの二段階の要件を要する。調書への記載がなされた時点で調停は成立したものとみなされ、裁判上の和解と同一の効力が発生する。
重要事実
上告人は、調停における合意成立の際に調停調書が作成されている必要があると主張し、合意の成立のみをもって調停の成立を認めるかのような判断を下した原判決には違法があると主張して上告した。
あてはめ
民事調停法16条は、合意が成立し、これを調書に記載したときに調停が成立する旨を明文で規定している。同条は合意成立と同時にその場で調書が物理的に完成していることまでを要求するものではないが、調書への記載という手続的プロセスを経て初めて確定的な効力が生じる。本件において、原判決は単なる合意のみで調停成立を認めたわけではなく、同条の解釈に適合した判断を示していると解される。
結論
調停の成立には、当事者間の合意に加えて調書への記載が必要である。ただし、合意成立の際、直ちに調書が作成されていることまでは必要ない。
実務上の射程
調停成立時期に関する基礎的な判例であり、実務上は「合意+調書記載」のセットで成立することを再確認するもの。答案上は、調停や和解の成立要件(形成要件)が争点となる場合に、単なる口頭の合意のみでは裁判上の効力が生じないことを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和32(オ)814 / 裁判年月日: 昭和35年12月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】調停条項に記載のない口頭の約束であっても、調停成立の前提条件として法律上の効力を持ち得る。また、相手方が争わない事実に反する認定をすることは自白の拘束力(民訴法179条等)に反し、農地転用許可の有無という登記の有効性に関する重要事実を等閑視することは許されない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人…
事件番号: 昭和37(オ)650 / 裁判年月日: 昭和38年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭債務の額等を定めた調停の無効確認を求める訴えにおいて、訴訟物の価額は算定不能ではなく、当該調停で合意された債務額そのものである。 第1 事案の概要:上告人らは、債務額を6500万円と協定し分割支払方法や連帯保証を定めた調停が成立したが、当該調停条項には詐欺、錯誤、虚偽表示、公序良俗違反、または…