高等裁判所が口頭弁論再開の手続をしなかつたことについて特別抗告がなされたが却下された事例。
判旨
口頭弁論を再開するか否かは裁判所の専権に属する事項であり、裁判所が弁論再開の手続をとらなかったとしても、それ自体が独立した不服申立ての対象となるものではない。
問題の所在(論点)
口頭弁論の再開をしない判断が、最高裁判所に対する抗告の対象となり得るか。また、弁論再開の可否に関する裁判所の権限の性質が問題となる。
規範
高等裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告(特別抗告)が許されるのは、憲法違反を主張する場合等、法で特に定められた場合に限られる。また、終局判決後の口頭弁論再開の可否は、当該事件を審理する裁判所の専権(裁量)に属する事項である。
重要事実
抗告人は、原裁判所(高等裁判所)が口頭弁論を再開しなかったことを違法不当として、最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、原裁判所は抗告人の再開申し立てに対して却下の「決定」を別途下した事実はなく、単に専権に基づき再開手続をとらなかったという経過があった。
あてはめ
本件抗告理由は、原裁判所が口頭弁論を再開しなかったことを不当とするのみで、憲法違反の主張を含まない。口頭弁論の再開は裁判所の専権に属する事項であり、裁判所がその職権を行使しなかったことは、独立して抗告し得る裁判には当たらない。また、記録上も再開申立を却下する「決定」が存在しない以上、不服申立ての対象を欠く。
結論
本件抗告は不適法であり、却下される。
事件番号: 昭和36(ク)181 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 却下
恩給法第一一条第三項所定の恩給受給権の差押禁止が憲法第一四条第一項に違反する旨の主張は、特別抗告適法の理由とならない。
実務上の射程
裁判所の弁論更新・再開に関する裁量権(民事訴訟法153条等)の広範さを裏付ける判例である。答案上は、当事者が弁論再開を申し立てたとしても、裁判所にこれに応じる法的義務はなく、再開しないこと自体を直ちに独立した上訴理由とすることは困難であると論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和24(ク)55 / 裁判年月日: 昭和24年9月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】口頭弁論再開決定に対する不服申し立てについて、異議申し立てとして受理されたものの、理由がないとして却下された事例である。 第1 事案の概要:最高裁判所が昭和24年8月1日に下した口頭弁論再開決定に対し、当事者(異議申立人)が「再抗告状」と題する書面を提出して不服を申し立てた。裁判所はこれを異議の申…
事件番号: 昭和28(ク)96 / 裁判年月日: 昭和28年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】下級裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告の許否は原則として立法政策の裁量に委ねられており、違憲を理由とする場合を除き抗告を認めないとしても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所の決定に対し、法令違反を理由とする抗告または再抗告の申し立てを認めないことは、憲法により保障された訴…
事件番号: 昭和37(ク)403 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
抗告代理人が原裁判所から遠隔の地に在つた等の所論事情があつても、五日の特別抗告期間内に抗告を申し立てることが抗告人に不能を強いるものとはいえないから、特別抗告期間を五日という非常に短い期間に限つた民訴法第四一九条ノ二第二項の規定が憲法第三二条に違反するとの上告理由は、前提を欠き採用できない。
事件番号: 昭和25(ク)40 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告が許されるのは、憲法違反を理由とする場合に限られる。単なる法令解釈の不当を憲法違反と主張することは、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、相手方の占有を解いて執行吏に保管させ、現状変更を禁止する仮処分決定を得ていた。その後、相手方が現状を変更したことを理由に…