違反しない。
民訴法第四一九条ノ二、裁判所法第七条は憲法第三二条に違反するか。
憲法32条,憲法81条,民訴法419条ノ2,裁判所法7条
判旨
憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、裁判所の組織や審級制度については法律の定めに委ねられており、最高裁判所への抗告権を法律で制限することは合憲である。
問題の所在(論点)
裁判所の組織や審級制度、特に最高裁判所への不服申立ての制限を法律で定めることが、憲法32条の「裁判を受ける権利」を侵害し違憲となるか。
規範
憲法32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利があることを保障しているが、裁判所の組織、権限、審級等に関しては、憲法81条に定める憲法裁判権を除き、特段の制限を設けず、専ら法律の定めに委ねている。したがって、訴訟法において最高裁判所への抗告を特定の事由に限定して認めることは、立法府の広範な裁量に属し、憲法に抵触しない。
重要事実
抗告人は、民事事件において最高裁判所に対し抗告を申し立てた。その際、裁判所法および当時の民事訴訟法(現行法の特別抗告に相当する規定等)が、最高裁判所への抗告権を厳格に制限している点は、憲法32条の保障する「裁判を受ける権利」を侵害するものであり違憲であると主張した。
事件番号: 昭和34(ク)321 / 裁判年月日: 昭和34年10月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の権限や審級の定めは原則として立法政策に委ねられており、最高裁判所への抗告権を訴訟法上特定の事由に限定する裁判所法7条2号等は、憲法32条、76条1項、77条1項に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人らは、最高裁判所の裁判権に関する規定である裁判所法7条2号が憲法76条1項および77条1項…
あてはめ
憲法32条の趣旨は、司法権の行使による権利救済の機会を最低限一度は保障することにあり、多段階の審級を設けることまでを憲法上要請しているわけではない。裁判所法7条および民事訴訟法の規定により、最高裁判所が裁判権を持つのは、訴訟法が特に認めた場合に限定されている。このような立法による審級の設計は、裁判所の組織・権限を法律事項とする憲法の構造に合致しており、何ら不当に裁判を受ける権利を奪うものではない。
結論
最高裁判所が抗告について裁判権を持つ場合を限定する裁判所法および民事訴訟法の規定は、憲法32条に違反せず合憲である。
実務上の射程
審級制度が立法政策の範囲内であることを示した重要な判例である。答案上は、裁判を受ける権利の限界(審級の保障の有無)が問題となる場面で、本判例を引用して「憲法32条は一定の審級構造を当然に保障するものではない」との論拠に用いることができる。
事件番号: 昭和37(ク)101 / 裁判年月日: 昭和37年5月31日 / 結論: 却下
裁判所法第七条第二号は、憲法第三二条に違反しない。(大法廷昭和二三年三月一〇日判決、同二五年二月一日判決参照)
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…
事件番号: 昭和34(ク)45 / 裁判年月日: 昭和34年4月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判所において裁判を受ける権利を保障するが、裁判所の組織や審級等は立法政策の問題である。したがって、最高裁判所への抗告が認められるのは、法律により特に許容された場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が原決定(詳細は判決文からは不明)を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案…
事件番号: 昭和39(ク)19 / 裁判年月日: 昭和39年2月7日 / 結論: 却下
民訴法第四一九条ノ二は憲法第三二条に違背しない。