基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。
民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるとされた事例。
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
判旨
判決に関与する裁判官は、その基本となる口頭弁論に関与した者でなければならず、これに反する判決は「法律に従って判決裁判所を構成しなかった」ものとして、絶対的上告理由に該当する。
問題の所在(論点)
判決に関与した裁判官の中に、その基本となる口頭弁論に関与していない者が含まれている場合、当該判決は民事訴訟法上の「法律に従って判決裁判所を構成しなかった」という絶対的上告理由に該当するか。
規範
判決は、その基本たる口頭弁論に関与した裁判官がなすべきであり(民事訴訟法249条1項参照)、口頭弁論に関与しない裁判官が判決に関与することは、同法312条2項1号に掲げる「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと」に該当する違法な裁判となる。
重要事実
原判決の基本となる口頭弁論には、裁判長判事D、判事E、判事Fの3名が関与していた。しかし、実際に言い渡された原判決の署名捺印欄には、裁判長判事D、判事Fに加え、口頭弁論に関与していなかった判事Gが名を連ねていた。この署名捺印の不一致により、判決に関与した裁判官が口頭弁論に関与した裁判官と異なることが記録上明らかとなった。
あてはめ
記録によれば、口頭弁論に関与したのは裁判官D、E、Fである。一方で、判決書に署名捺印をしたのは裁判官D、F、Gであった。この事実は、口頭弁論に関与した判事Eが判決から外れ、代わりに関与していない判事Gが判決に加わったことを示している。したがって、本判決は口頭弁論に関与しない裁判官によってなされたものと評価せざるを得ない。
結論
原判決には法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法があるため、破棄を免れない。原判決を破棄し、本件を原審である大阪高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
直接主義の要請から、口頭弁論に関与した裁判官と判決を下す裁判官の同一性を求める原則(249条1項)を確認したものである。実務上は、裁判官の交代があった場合に弁論の更新(249条2項)を失念し、署名捺印において不一致が生じた場合に、312条2項1号の絶対的上告理由(必要的破棄事由)として機能する。
事件番号: 昭和37(オ)547 / 裁判年月日: 昭和37年11月15日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与することは、判決に関与した裁判官の構成が法律に違反している場合に該当し、絶対的上告理由となる。 第1 事案の概要:本件において、原判決の基礎となる口頭弁論に関与した裁判官は裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fであった。しかし、実際に原判決の原…
事件番号: 昭和29(オ)920 / 裁判年月日: 昭和32年2月15日 / 結論: 破棄差戻
株式会社の代表取締役が会社の代表者として土地を所持する場合には、右土地の直接占有者は会社自身であつて、代表者は、個人のためにもこれを所持するものと認めるべき特段の事情がないかぎり、個人として占有者たる地位にあるものとはいえない。