基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。
民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法のある事例
民訴法187条1項,民訴法395条1項1号
判旨
判決書に署名捺印した裁判官が、判決の基礎となる口頭弁論に関与した裁判官と異なる場合、その判決は判決に関与しない裁判官によってなされたものとして、絶対的上告理由に該当する。
問題の所在(論点)
判決の基礎となる口頭弁論に関与した裁判官と、実際に判決書に署名捺印した裁判官が一致しない場合、どのような法的瑕疵が生じるか。
規範
判決は、その基礎となる口頭弁論に関与した裁判官がしなければならない(民事訴訟法249条1項、旧法187条1項)。これに違反して、判決に関与しない裁判官が判決をした場合には、絶対的上告理由となる(民事訴訟法312条2項1号、旧法395条1項1号)。
重要事実
原判決の記録上、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官は裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fであった。しかし、作成された原判決書には、判決をなした裁判官として裁判長裁判官D、裁判官G、裁判官Eの署名捺印がなされていた。
事件番号: 昭和37(オ)832 / 裁判年月日: 昭和39年7月21日 / 結論: 破棄差戻
基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。
あてはめ
本件において、口頭弁論には裁判官Fが関与していたにもかかわらず、判決書には口頭弁論に関与した形跡のない裁判官Gが署名捺印している。これは、判決の基本となる口頭弁論に関与した裁判官が判決をなすべきとする原則に反する。したがって、本件判決は「判決に関与しない裁判官が判決をした」ものと評価せざるを得ない。
結論
原判決には民訴法上の絶対的上告理由があるため、原判決を破棄し、本件を原裁判所に差し戻す。
実務上の射程
裁判所の構成の適法性に関する基本的な判例である。答案上は、直接審理主義のあらわれとして、口頭弁論に関与した裁判官と判決を下す裁判官の同一性が厳格に要求されることを示す際に引用する。なお、実務上、裁判官の交代があった場合には弁論の更新(民訴法249条2項)が必要となる点にも留意すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)593 / 裁判年月日: 昭和36年6月30日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】口頭弁論に列席した裁判官と判決書に署名した裁判官が異なる場合、判決は適法な構成による判決裁判所によってなされたものとは認められず、絶対的上告理由となる。 第1 事案の概要:本件の原審における最終口頭弁論期日(昭和35年2月9日)に列席した裁判官は、裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fの3名であった。…
事件番号: 昭和37(オ)547 / 裁判年月日: 昭和37年11月15日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与することは、判決に関与した裁判官の構成が法律に違反している場合に該当し、絶対的上告理由となる。 第1 事案の概要:本件において、原判決の基礎となる口頭弁論に関与した裁判官は裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fであった。しかし、実際に原判決の原…