判旨
口頭弁論に列席した裁判官と判決書に署名した裁判官が異なる場合、判決は適法な構成による判決裁判所によってなされたものとは認められず、絶対的上告理由となる。
問題の所在(論点)
口頭弁論に関与した裁判官と判決に関与(署名)した裁判官が相違する場合の適法性(民事訴訟法312条2項1号の該当性)。
規範
判決は、その基本となる最終の口頭弁論に関与した裁判官によって構成される裁判所が言い渡さなければならない(民事訴訟法249条1項参照)。したがって、最終口頭弁論に列席した裁判官と判決に関与した裁判官が一致しない場合は、法律に従って判決裁判所を構成しなかったもの(同法312条2項1号)として、破棄事由となる。
重要事実
本件の原審における最終口頭弁論期日(昭和35年2月9日)に列席した裁判官は、裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fの3名であった。しかし、言い渡された原判決の判決書に署名捺印している裁判官は、裁判長裁判官G、裁判官D、裁判官Fであり、口頭弁論に関与した裁判官Eが含まれず、関与していないはずの裁判官Gが加わっていた。
あてはめ
本件では、判決の基礎となる最終口頭弁論に裁判官Eが列席していたにもかかわらず、判決の署名には裁判官Gが現れている。これは、口頭弁論を直接聴取していない裁判官が判決の判断に関与したか、あるいは口頭弁論に関与した裁判官が評議に関与しなかったことを示唆する。このような不一致がある以上、原判決の評議評決は適法な構成による判決裁判所によってなされたものと認めることはできない。
結論
原判決には法律に従って判決裁判所を構成しなかった違法があるため、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
直接主義(民訴法249条1項)の要請から、裁判官の更迭があった場合には弁論の更新が必要となる。本判決は、判決書上の表示から裁判官の不一致が明らかな場合に、絶対的上告理由として直ちに破棄されるべきことを示した事例である。
事件番号: 昭和36(オ)583 / 裁判年月日: 昭和36年10月13日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】判決に関与した裁判官が、判決の基本となる最終の口頭弁論に関与した裁判官と異なる場合は、判決裁判所の構成が不適法であり、絶対的上告理由となる。 第1 事案の概要:原審の最終口頭弁論(昭和36年1月17日)には、裁判長裁判官斎藤規矩三、裁判官上野正秋、裁判官宮崎富哉の3名が列席した。しかし、言い渡され…
事件番号: 昭和37(オ)832 / 裁判年月日: 昭和39年7月21日 / 結論: 破棄差戻
基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。