判旨
判決に関与した裁判官が、判決の基本となる最終の口頭弁論に関与した裁判官と異なる場合は、判決裁判所の構成が不適法であり、絶対的上告理由となる。
問題の所在(論点)
最終の口頭弁論に関与した裁判官と、判決の署名に関与した裁判官が一部異なる場合、判決裁判所の構成が適法といえるか(民事訴訟法312条2項1号)。
規範
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がこれをしなければならない(民事訴訟法249条1項参照)。したがって、判決の評議および評決は、適法に構成された判決裁判所によってなされることを要し、最終の口頭弁論に列席していない裁判官が判決の署名押印に関与することは、裁判所の構成の違法を構成する。
重要事実
原審の最終口頭弁論(昭和36年1月17日)には、裁判長裁判官斎藤規矩三、裁判官上野正秋、裁判官宮崎富哉の3名が列席した。しかし、言い渡された原判決に署名しているのは、裁判長裁判官斎藤規矩三、裁判官石井義彦、裁判官宮崎富哉であり、口頭弁論に列席した上野裁判官に代わり、列席していない石井裁判官が署名に加わっていた。
あてはめ
本件では、判決の基礎となる最終の口頭弁論に関与した裁判官(斎藤、上野、宮崎)のうち、上野裁判官が判決に関与せず、代わりに口頭弁論に列席していない石井裁判官が署名している。このような構成の不一致がある場合、その判決の評議・評決は適法な構成による判決裁判所によってなされたものとは認められない。したがって、判決に影響を及ぼすべき裁判所の構成の違法が存在するといえる。
結論
判決裁判所の構成が不適法であるため、原判決は破棄を免れない。事件を原審に差し戻す。
実務上の射程
事件番号: 昭和34(オ)396 / 裁判年月日: 昭和35年7月21日 / 結論: 棄却
一 町村合併による新町の発足により旧町村の正式職員であつた者が新たに新町の職員として任命されたような場合には、条件附任用に関する地方公務員法第二二条の適用はない。 二 地方公務員法第二八条第一項第一号、第三号に該当するかどうかの判断は、任命権者の純然たる自由裁量に任された事項ではなく、同条の趣旨にそう一定の客観的標準に…
民事訴訟法312条2項1号の「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと」という絶対的上告理由の具体例を示す。口頭弁論の更新(同法249条2項)が行われないまま裁判官が交代した場合の重大な手続違背を判断する際の指標となる。
事件番号: 昭和35(オ)593 / 裁判年月日: 昭和36年6月30日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】口頭弁論に列席した裁判官と判決書に署名した裁判官が異なる場合、判決は適法な構成による判決裁判所によってなされたものとは認められず、絶対的上告理由となる。 第1 事案の概要:本件の原審における最終口頭弁論期日(昭和35年2月9日)に列席した裁判官は、裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fの3名であった。…
事件番号: 昭和26(オ)128 / 裁判年月日: 昭和28年12月4日 / 結論: 棄却
一 労働組合規約に、組合員総会に諮るべき事項として、組合規約等の外委員会において必要と認むる事項と、また委員会に諮るべき事項として組合運営に関する事項等の外総会に諮るべき事項と定めている場合においても、緊急な特別の事情がある場合には、委員会に図ることなく、組合員より直接総会に議案を提出することを得るものと解すべきである…
事件番号: 昭和39(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
人事委員会に不利益処分の審査請求をした手続の当事者であつても、同委員会に対し、その議事録の閲覧を請求する権利が与えられているものではない。