一 町村合併による新町の発足により旧町村の正式職員であつた者が新たに新町の職員として任命されたような場合には、条件附任用に関する地方公務員法第二二条の適用はない。 二 地方公務員法第二八条第一項第一号、第三号に該当するかどうかの判断は、任命権者の純然たる自由裁量に任された事項ではなく、同条の趣旨にそう一定の客観的標準に照らして決せられるべきものであり、同法第八条の第八項にいう法律問題にあたる。
一 町村合併による新町の発足により旧町村の正式議員であつた者が新たに新町の職員として任命された場合と条件附任用に関する地方公務員法第二二条の適用の有無 二 地方公務員法第二八条第一項第一号、第三号に該当するかどうかの判断と同法第八条第八項の法律問題
地方公務員法22条,地方公務員法8条8項,地方公務員法28条1項
判旨
地方公務員法28条1項の免職事由に該当するか否かの判断は、任命権者の広範な自由裁量ではなく、客観的標準に照らして決せられるべきであり、裁判所の審判に服する。
問題の所在(論点)
地方公務員法28条1項に基づく免職処分の要件(勤務実績の不良、職務上の適格性の欠如)の有無を判断するにあたり、任命権者にどの程度の裁量権が認められるか。また、その判断は裁判所の審査の対象となるか。
規範
地方公務員法28条1項1号・3号に該当するか否かの判断については、任命権者に一定の裁量権は認められるものの、純然たる自由裁量に委ねられた事項ではない。同条の趣旨に沿う「一定の客観的標準」に照らして決せられるべきであり、任命権者が当該客観的標準への合致の有無を誤って免職処分をした場合には、裁量権の行使を誤った違法なものとなる。この判断は、裁判所の審判に服すべき法律問題である。
重要事実
町村合併による新町の発足に伴い、旧町村の正式職員であった被上告人らが新町の職員として新たに任命された。任命権者は、被上告人らの事務処理能率が幾分低調であり、職務への積極性がやや不足し、上司への態度に非難すべき点があったとして、地公法28条1項1号・3号に基づき免職処分を行った。被上告人らは、かかる処分を不服としてその取り消しを求めた。
あてはめ
被上告人らについて、事務能率の低調さや積極性の不足、上司への不適切な態度などが一定程度認められる。しかし、これらの事実は、公務員としての身分を失わせる免職事由を定めた地公法28条1項1号(勤務実績が良くない場合)や3号(適格性を欠く場合)の「客観的標準」に合致するほどの重大なものとはいえない。したがって、任命権者がこれらの事実を免職事由に該当すると判定したことは、裁量権の行使を誤った判断といえる。
結論
本件免職処分は違法である。任命権者の判断が客観的標準に合致しない場合、その処分は裁量権の逸脱・濫用として裁判所により取り消されるべきである。
実務上の射程
分限処分の司法審査に関する重要判例である。裁量権の存在を認めつつも「客観的標準」という概念を導入し、事実認定とその評価が客観的合理性を欠く場合には、裁判所が法律問題として審査できることを示した。答案では、裁量審査の密度を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)694 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄自判
一 小学校教諭が三月二五日に学校長に退職願を提出したが、同日夜撤回を決意し、翌二六日学校長に対し撤回方の尽力を依頼し、翌二七日市教育委員会学校教育課長に撤回を申し入れ、さらに、翌二八日に県教育委員会委員長に対し、退職願取消の申入と題する自己名義の文書に押印し発送した場合は、年度末教員の大異動が差し迫つていたからといつて…
事件番号: 昭和39(行ツ)64 / 裁判年月日: 昭和40年12月10日 / 結論: 棄却
公務員を分限免職にするかどうかは、行政庁の自由裁量に属する。
事件番号: 昭和37(オ)701 / 裁判年月日: 昭和38年11月26日 / 結論: その他
町の支所長が、町長の都合に基づく強引な勧告に応じて退職願を提出したが、即日撤回を決意し、翌日町長に宛てた退職願を取り消すとの書面を町役場に送付した場合は、その間、町長において辞令書を郵便に付し、また後任の事務取扱者を任命した事実があつても、当時の客観的情勢としては急速に後任者の発令をする必要が認められなかつたことをも勘…