判決の基本たる口頭弁論に関与しない裁判官が判決をしたため破棄差戻された事例。
判旨
判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与することは、判決に関与した裁判官の構成が法律に違反している場合に該当し、絶対的上告理由となる。
問題の所在(論点)
口頭弁論に関与していない裁判官が判決の署名捺印に関与している場合、民事訴訟法上の絶対的上告理由にあたるか。
規範
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がしなければならない(民事訴訟法249条1項)。これに反して、口頭弁論に関与していない裁判官が判決の署名捺印に関与した場合には、「法律によって判決裁判所を構成すべき裁判官によらないで判決をしたとき」として、絶対的上告理由(同法312条2項1号)に該当する。
重要事実
本件において、原判決の基礎となる口頭弁論に関与した裁判官は裁判長裁判官D、裁判官E、裁判官Fであった。しかし、実際に原判決の原本に署名捺印をした裁判官は、裁判長裁判官D、裁判官G、裁判官Fであった。
あてはめ
記録上、口頭弁論に関与した裁判官の中に裁判官Gは含まれておらず、逆に口頭弁論に関与したはずの裁判官Eが判決の署名捺印に関与していない。したがって、裁判官Gが加わってなされた原判決は、判決の基本たる口頭弁論に関与しない裁判官によってなされたものといえる。これは、判決をなすべき裁判所の構成に瑕疵がある場合に該当する。
結論
原判決は、判決の基本たる口頭弁論に関与しない裁判官によってなされたものとして、絶対的上告理由(旧民事訴訟法395条1項1号、現行312条2項1号)に該当し、破棄を免れない。
事件番号: 昭和36(オ)207 / 裁判年月日: 昭和36年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決の理由記載において、第一審判決を引用することは民事訴訟法の規定に基づき適法であり、控訴審の独立した裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、控訴審判決が理由の記載において第一審判決を引用したことについて、それが控訴審の不羈独立の裁判を妨げるものであると主張して上告を申し立て…
実務上の射程
裁判官の交替があった場合において、弁論の更新(民訴法249条2項)が行われないまま新裁判官が判決に関与した事案全般に射程が及ぶ。民事訴訟における直接主義の徹底を求める規範であり、答案上は上告理由の有無を判断する際の基礎となる。
事件番号: 昭和30(オ)573 / 裁判年月日: 昭和31年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証言の一部に事実に符合しない部分があっても、それだけで直ちに他の部分が信用できなくなるものではなく、証拠の採否は事実審の専権に属する。 第1 事案の概要:上告人は、原審における事実認定に関し、経験則に反する認定があること、および採証の法則に違反して事実認定が行われたことを主張した。具体的には、証言…
事件番号: 昭和57(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和58年11月24日 / 結論: 棄却
第一審の訴訟手続に民訴法一八七条三項違背があつても、控訴審は当然に第一審判決を取り消さなければならないものではない。
事件番号: 昭和37(オ)832 / 裁判年月日: 昭和39年7月21日 / 結論: 破棄差戻
基本たる口頭弁論に関与しない裁判官の関与した判決は、民訴法第三九五条第一項第一号に該当する違法があるものと解すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)676 / 裁判年月日: 昭和37年3月20日 / 結論: 棄却
不動産の売買契約の代理権の存否が争点となつている事件において、売渡証書の売主(被告)名下の印影が同一の印と一致するかどうかにつき、当事者間に争いがあるのにかかわらず、これを争いなしと判断し、右判断を代理権授与の認定の資料に供した違法があつても、数個のかつ多角的な内容を有する間接事実を採用してこれを代理権授与の認定の資料…