商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率は、年五分の割合であつて、商法第五一四条を類推適用すべきではない。
商人間の不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金の法定利率。
民法404条,民法709条,商法514条
判旨
不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金について、商事法定利率の類推適用は認められず、民事法定利率(年5分)が適用される。
問題の所在(論点)
商人間の不法行為に基づく損害賠償債務について、商法514条の商事法定利率(年6分)が類推適用されるか、それとも民事法定利率(年5分)が適用されるか。
規範
商人間の関係であっても、不法行為に基づく損害賠償債務は商行為によって生じた債務(商法514条)には当たらないため、特段の合意がない限り、民法所定の法定利率(当時の年5分)が適用される。商法514条を不法行為に類推適用することはできない。
重要事実
一流百貨店である上告人の呉服部長Fの代理権を冒用した第三者Eが、被上告人との間で繊維製品の売買契約を締結し、商品を騙し取った。FはEの行為を知りながら容認し、また仮に知らなくても誤送付について通知すべき信義則上の義務を怠った。被上告人は上告人に対し、不法行為(使用者責任等)に基づき損害賠償を請求し、その遅延損害金に商事法定利率(年6分)の適用を主張した。
あてはめ
本件における損害賠償義務は、売買契約という商行為そのものから生じたものではなく、呉服部長Fの不作為や不適切な対応という不法行為(民法709条、715条等)を原因として発生したものである。不法行為債務は営利を目的とする商行為の本質とは異なるため、商人間のトラブルであっても商法514条を類推適用する基礎を欠く。したがって、原則通り民事法定利率を適用すべきである。
結論
商事法定利率の類推適用は認められず、民事法定利率(年5分)による損害金の支払のみを是認した原判決は正当である。
実務上の射程
商人間の紛争であっても、債務の発生原因が不法行為である場合には民事法定利率が適用される(民法改正後は改正後の規定に従う)。実務上、契約上の債務不履行(商事利率)か不法行為(民事利率)かの区別を意識して訴状の請求趣旨を構成する必要がある。
事件番号: 昭和28(オ)1129 / 裁判年月日: 昭和30年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の目的の範囲外の行為であるからといって、直ちに取引相手方の過失を推定すべきではなく、法人の役員による背任行為について相手方が悪意又は重過失でない限り、当該相手方に法人の目的等に照らした過失があるとはいえない。 第1 事案の概要:上告会社(法人)の訴外役員Dが、被上告人との間でダイヤ等の売買契約…