売主所有の土地について指定された換地予定地の一部を目的物として売買契約が成立した場合において、その契約の成立にいたるまでの経緯および右目的物に関し原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、同契約に基づき買主の取得する当該土地所有権移転請求権については、いわゆる選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきである。
土地の一部を目的とする売買契約に基づき買主の取得する債権について選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきであるとした事例
民法406条,民法407条,民法408条
判旨
売買契約において目的物が具体的に特定されていない場合であっても、契約締結に至る経緯や諸般の事情に照らし、いわゆる選択債権に関する民法の規定を類推適用して目的物を特定すべきである。
問題の所在(論点)
売買契約において目的物が具体的に特定されていない場合、その債権の性質をどのように解すべきか。特に、選択債権に関する規定(民法406条等)を類推適用できるか。
規範
契約の目的物が一義的に確定していない場合であっても、当事者間の合意形成の経緯や目的物の性質等に鑑み、複数の目的物候補の中から債権の内容が定まる関係にあるときは、民法406条以下の選択債権に関する規定を類推適用し、選択権の行使等によって給付内容を特定すべきである。
重要事実
上告人(土地所有者)と被上告会社との間で、上告人所有の土地を目的物とする売買契約(元地提供契約)が締結された。しかし、当該契約において給付すべき具体的な土地の範囲や場所が明確に特定されていなかったため、その債権の性質が問題となった。上告人は、特定の宅地を提供することで契約上の責任が解除される合意があったと主張したが、原審はその事実を否定した。
事件番号: 昭和40(オ)903 / 裁判年月日: 昭和43年8月27日 / 結論: 棄却
選定当事者は、選定者から特別の委任を受けないでも、訴訟上の和解をすることができ、その権限は、選定行為においてもこれを制限することができないものと解すべきである。
あてはめ
本件契約が成立するに至るまでの詳細な経緯や、目的土地に関する諸般の事情を考慮すると、当事者は複数の候補の中から目的物が選定されることを予定していたといえる。このような関係は、数個の給付の中から選択によって一の給付が決定される選択債権の構造に類するものと解される。したがって、明示的な選択債権の合意が認められない場合であっても、契約の実態に即して選択債権の規定を類推適用するのが相当である。
結論
本件契約に基づき被上告会社が取得する債権については、選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきである。したがって、これと同旨の原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
契約解釈において、目的物が完全に特定されていない「不特定物債権」と「選択債権」の中間的な事案において、選択権(民法406条以下)の法理を柔軟に用いて解決を図る際の根拠となる。答案上は、契約の解釈によって給付内容を確定するプロセスにおいて、選択債権の類推適用の可否を検討する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)406 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
証人らが訴訟当事者の一方の妻あるいは妻の兄の関係にあるとしても、その一事によつて右証人らが証人能力を有しないとか、証言の証拠価値が薄弱であるとかは断定できない。
事件番号: 昭和37(オ)291 / 裁判年月日: 昭和38年9月3日 / 結論: 棄却
甲乙間の農地訴有権移転の許可申請書に添付されている農地売買契約書表示の契約年月日において甲乙間に直接売買がなされた事実はなく、真実は、前示年月日以前に甲丙間に売買契約が成立していたところ、丙の右契約にもとづく権利を乙が譲り受け、甲乙間に当該農地の所有権移転がなされるに至つた場合にあつては、申請書添付書類に右のような真実…
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和34(オ)393 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約等において授受される手附は、必ずしも解除権を留保する趣旨の解約手附(民法557条1項)に限られるものではなく、契約成立の証拠として授受される証約手附と認めることも妨げられない。 第1 事案の概要:上告人は、授受された手附が解除権を留保した内容(解約手附)であると主張したが、原審(控訴審)は…